漢字一文字の旅 第三巻
七の二 【宙】
【宙】、往古来今の時間を言い、天地四方上下を意味する「宇」と引っ付き「宇宙」となる。
つまり時空を意味する。
また【宙】のウ冠の下の「由」、これは瓢箪の実が熟して溶け、殻の中が空っぽになった形だそうな。
そこから宇宙のように、果てしなく広がる空間を意味するとか。
いろいろと解釈はあるようだが、宇宙の大きさはどれくらいのものだろうか?
現在我々人類が知る宇宙は――半径450億光年の球状の範囲だ。
そう言われても、ピンとこない。
人類が暮らす天の川銀河は直径10万光年。
アンドロメダ銀河、一番近い銀河だが、250万年光年の距離がある。
計算すると、宇宙の果てはアンドロメダ銀河の1万8000倍先にあるようだ。
うーん、これでもイメージがわかない。
もし地球とアンドロメダ銀河の距離が10センチメートルとすると、宇宙の果ては1.8キロメートル先。
えっ、意外近いじゃんと勘違いしそうだけど、事実はとてつもなく遠いのだ。
そして、その果てに何があるのだろうか?
案外、今あるここに戻って来たりして。
ことほど左様に、【宙】という字、まったくわけわからないが、わかったような気にさせてくれる漢字なのだ。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊