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漢字一文字の旅  第三巻

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二の六  【馬】



【馬】、まさしくたてがみのある「うま」の形だそうな。

モリンホール、モンゴルの民族楽器だ。
二本の弦の擦弦楽器で、棹の先端部分が馬の頭の形をしている。
モンゴル語で「馬の楽器」であり、日本語では「馬頭琴」(ばとうきん)と呼ばれている。

そんなモリンホールには「スーホの白い馬」という言い伝えがある。
遊牧民の少年スーホは、ある日、白い子馬を拾い、大切に育てた。
それから数年後、王が競馬大会を開いた。目的は姫の結婚相手を探すためだ。
スーホは成長した白馬に乗馬し参加した。そして見事に優勝した。

しかし、王は貧しいスーホに姫を結婚させなかった。その上に、スーホにはたった三枚の銀貨を渡し、白馬を取り上げてしまった。

その後、王は祝いの宴を催したが、白馬は矢を体中に射られながらも、スーホのもとへと逃げ戻ってきた。
瀕死の状態の白馬、スーホの看病むなしく逝ってしまう。
スーホはこれが無念で、幾晩も眠れない。しかし、ある夜夢を見る。

その夢の中で、愛馬はスーホに告げる。
自分の亡骸で楽器を作れと。

これに従って作られたのがモリンホール(馬の楽器)、馬頭琴だ。

【馬】という漢字、とにかく世界中に伝説や格言が多くある。
そして、2014年の干支は【馬】だ。
どんな新しい物語が生まれるだろうか?