漢字一文字の旅 第三巻
十六の一 【開】
【開】、門を閉める横木を表す「閂」(さん、かんぬき)と「廾」(きょう)との組み合わせ。
「廾」は左右の手を並べた形の漢字で、「閂」(かんぬき)を「廾」で取り外す。
これがまさに【開】(かい、ひらく)だとか。
うーん、なるほどと納得してしまう。
さてさて、この漢字一文字の旅、1年ほど休まさせて頂いておりました。
理由は、ちょっと疲れ、温泉宿で休養させてもらっていたとご理解ください。
そのせいで……、『旅で最も手間取るのは、敷居をまたぐ時だ』。
これはマルクス・テレンティウス・ウァロという人の言葉です。
確かにその通りかもね。
だが「閂」(かんぬき)を両手「廾」で取り外し、敷居をまたぎ、新たな旅へと――再【開】。
『砂漠を旅する者は、星に導かれて進む』
このM・トケイヤーの言葉を心に刻み、今度はゆっくりとした旅を続けさせてもらいます。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊