漢字一文字の旅 第三巻
十五の二 【友】
【友】、右手の形の「又」(ゆう)を二つ組み合わせた字であり、手を取り合って助け合う意味になったそうな。
そこから友だちの意味となり、友人や友情などの熟語を作る。
ならば「朋」(とも)、これは一体何か?
論語の一節に、『有朋自遠方来 不亦楽』とある。
誰しも漢文の授業で習ったはずだから、少しは記憶に残っているだろう。
そう、これは有名な――「朋」有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや。
遠方からの友人の訪問で、嬉しい気分を詠っている。
しかし、この場合、【友】ではなく「朋」が使われている。
なぜ?
元々「朋」という漢字は、貴重な子安貝を紐で綴り、同等のもの二連を一組とした形。
つまり対等に肩を並べた形を表しているそうな。
そんな視点から、【友】には助け合う姿があるが、「朋」はどちらかと言うと同じフレンドであっても、ライバルに近いのかもしれない。
つまるところ、【友】は助け合う同志であり、「朋」は競い合う同門の相弟子、こような違いで解釈されている。
で、ここで疑問が。
最近よく見聞する『ママトモ』。
これってどっちのトモ?
当然答えは、ママ【友】ではなく、
ママ「朋」が正解……のような気がするが、どうだろうか?
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊