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王様

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これはある国の王様の話です
王様の行う政治はとても素晴らしく全ての国民に愛されていました
王様の周りには優秀な家臣が集まりとても幸せそうです
しかし、王様は孤独でした
王様はどれだけ周りの者たちに愛されようともどこか一歩引いたところで眺めるように微笑んでいます
王様は他の人たちと違うことがありました
なんと王様は食事が大嫌いだったのです
王様は、満腹になるととても腹が立ち機嫌が悪くなってしまいます
なので王様は食事をするときは満腹にならないように調整しなければならないので
それがストレスとなってどんどん食事が嫌いになってしまったのです
王様はみんなも自分と同じで苦労しているんだろうな、と思い
周りの者たちにその話をします
するとどうでしょう
周りの者たちは口々に答えるのです
「満腹になるのはとても幸せ」「私は食べることが大好きです」「お腹いっぱいになってもまだたべたいわ」
皆とても幸せそうな顔で答えるので
王様は気づいてしまうのです
自分と同じ気持ちの人はどこにもいない、私は人と違うのだ。と
王様は自分の国の人々がみんな好きでした
そして、そんな人たちが皆幸せそうな顔になる食事の場というのも大好きでした
ですがどうしても食事を好きになることができません
なので王様は周りの人の幸せそうな顔を見ながらおしゃべりをしながら少しずつ食べ物を口に運ぶのでした
王様は常々思っていました
どうして私は皆が当たり前に感じている幸せを感じることができないのか。
皆と違う気持ちで食事をしなければいけないのならばいっそのこと何も食べないで生きていける体になりたい。と

ある日王様は城下町で散歩をしていると、とあるうわさを耳にするのです
「三日三晩教会でお祈りをすると願いが叶う」
それを聞いたとき王様は大喜びしました
願いを叶えてもらえば私も皆と楽しく食事ができるのでは
毎日我慢しないでも食事を楽しめるんじゃないか
王様は弾むような気持ちで王宮へ脚を運びます
そして宰相に4日ほど1人で出かける用事があるということと
おかしな噂が広まっているからしばらく教会には人を入れてはならない、と告げました
宰相は王様が1人で出かけるというのを不思議に思いましたが
王様が見たことも無いほどうれしそうに言うので口を挟めませんでした
王様は去り際に宰相にもう1つだけ言うのです
「私が帰ってきたら皆で食事をしよう」と

その翌日から三日三晩王様は教会に篭ってお祈りを続けるのでした

そうして私は、丸四日の祈りを終えると何も起こらないことに落胆して気づいたときにはその場で眠りに落ちていた。
しばらく眠っていると、強烈な光をまぶたに感じ目を覚ましたのだ。
まぶしさに目を細めながら周りを確認すると、なんと目の前には天使がいるではないか。
天使は私に向かって言うのだ。
「あなたの祈りは届きました。願い叶えてさしあげます。」
私はその言葉が信じられず、天使に何度も確認をする。
すると天使は言はいうのだ。
「信じられないのならば確かめてみてはいかがですか。約束があるのでしょう?」
そうだ。私は皆と食事の約束をしていたのだ。そこで確かめればいいではないか。
まだ半信半疑だったのだが天使に深く感謝を述べ足早に王宮に向かうのだった。
教会を出るとき、もう一度天使のほうに目をやると
天使の頭上からは光が差し込みそこはまるで天国のようであった。
教会をあとにし、王宮へ戻り広間の扉を明けると宰相をはじめとした私の部下たちが皆笑顔で私を迎え入れてくれた。
「陛下お帰りなさい」「陛下、土産はないんですかい?」「陛下は遊びに行ったのではないですよ」
皆とおしゃべりに興じたい気持ちは強かったのだが、やはり逸る気持ちは抑えきれず私は言うのだ。
「さっそくだが、食事にしよう。私はとても今日の食事を楽しみにしていたのだ」
皆は私がそんな言葉を口にするとは思ってなかったようでしばらく呆けていたのだが手早く食事の準備をしてくれた。
「では、いただくとしようか」
私は食事に手をつけ始めるのだった。
信じられないことに、食事が本当にうまく感じられ心なしか腹が満たされていくことに幸せを覚えている。
私はこんなにも幸せなことを生まれてから感じられなかったことを悔しく思うと同時に
この幸せを感じることができることに先ほど会った天使そして神に感謝をした。
これからは皆と同じ幸せを感じることができると思うといつしか涙が零れ落ちていた。
突然の私の涙に皆が驚き心配してくれていたので私は笑顔でこう言うのだ。
「私は、実は食事が大好k――――――――――――

















王様が宰相に言伝をして、4日後のことです
教会で王様の亡骸が発見されました
死因は餓死だそうです
王様を一番に発見したものは
王様があまりに幸せそうに眠っていらっしゃったのではじめは声をかけるのをためらったのですが
お風邪を召されてはいけないと思い起こそうと思ったら息をしていないことに気がついたのだそうです

                                              〜Fin〜
作品名:王様 作家名:kert0012