大人の言葉遊び(61)
濃いめにいれて
含む口
恋の苦さも
薄まらず
苦さゆえ
胸に残りし
想いあり
甘い記憶を
陰で支える
抱きしめて
頬が触れ合う
一瞬に
ついた火花は
線香花火
ぼんやりと
一人見上げる
星の空
抱く肩もなく
越える秋の夜
星もなく
月も見えない
この空に
無限の舟の
行き交うを知る
幾億の
輝く星に
伸ばす指先
届かず凍え
瞬きに涙
指先が
勝手に君の
名前打つ
「好き」という字も
止められない
過ぎ去るは
定めでありて
ひとときの
陶酔のなか
標を得たか
定めなら
このひとときは
輝る玉
明日がわからぬ
人のよすがに
明日はまた
明日に去る人
出会う人
玉の響きを
伝え合えたら
作品名:大人の言葉遊び(61) 作家名:智樹