リフレイン
その泉から、言葉をすくって、手の平で転がせてみたり、ジュウタンの上に立たせてみる。そして、私は室内を歩いて、言葉の反対側に周り、もう一度、その言葉をみてみると、美味しい言葉がさらに美味しい言葉に仕上がって見えた。
私はその言葉を手で摘み、口の中にほおりこむ。口の中で言葉の味を確かめ、よく噛んで、言葉を堪能した。その味は、高級ステーキと同じ味がした。私は、その上手さに腹から喜び、高級な本であることを確信した。
私は、さらにその味に浸りたくなり、ページを読み進めていく。この本の結末にある最高の言葉を求めて、私はさらにページをめくる。今までに開いたどんな本よりも、平凡な言葉しか、並んでいないのに、その言葉達が繋がりあって、遺伝子のようにくっ付き合い、とても美味しい言葉を作りだしている。まだ、10ページしか読んでいないのに、私のお腹はいっぱいである。
本のページを最後までめくってしまう前に、私は笑い死んでるかもしれない。けれど、死んでしまっては、この本を題材にした作品が作れないので、私は、腹筋(はらきん)が震えるのを必死に抑え、死にあらがう。
私は、死なないために、おそるおそるページをめくることにした。1ページを慎重に、慎重に、笑いに耐えて。
だが、今度は、口から言葉が吹き出そうになったので、私は口を必死に抑えた。そう、これはゲップだ。
しばらくすると、ゲップが収まった。私は安心して、野菜ジュースで気分転換をしようとした瞬間だった。
「地球はな、いいかみんな、オレンジのように丸いんだぞ!」
という言葉が口から飛び出し、そのまま、窓を飛びぬけ、山の向こう側へと飛んで行き、山びことなって、何度も、何度も、私の口の中に美味しい言葉が飛び込んできた。そして、私の腹筋が、再び震え始め、私はその震えにあらがえず、爆死したのであった。