知っていた
二、
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
「ん? どうしたの」
「ソラがいないの」
「またあの公園じゃないの? ほら、近所の男の子とよく遊んでもらってたでしょ」
「最近はあそこ行ってもあの子いないから、ソラも行かなくなったんだよ! 他に行くとこ知らないし、どうしよう、事故とかに遭っちゃってるかも……」
「平気だって。真っ白だから目立つし首輪もあるし、もう歳だからそんなに遠くまでいけないだろうしさ」
「でもお姉ちゃん、猫って確か、死ぬ時って飼い主にばれないようにこっそり出て行くんじゃなかった? 飼い主の知らない場所で、心配されないようにひっそりと」
「ああもう大丈夫だってば! 天気も良いしどっかでぬくぬく日向ぼっこでもしてるんだって」
「そうかなあ……」
「そうそう。そんなに心配なら後で探しに行こ。どうせすぐ戻ってくるだろうけどさ」