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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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リピーター

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「こんにちわ!」
その声に、ばあちゃんが挨拶を返した。
「こんにちわ!」
その声に、じいちゃんが挨拶を返した。
「こんにちわ!」
「こんにちわ!」
明るい声の持ち主は少女であり、元気な挨拶をして、店内を走り回っていた。見た目、4歳といったところだろうか。
「こんにちわ!」
「さっきから、何べんも言ってるやん」
さらに、その背中を負うように、姉の少女が店内をついて回っていた。こちらも、5歳か6歳くらいの少女だ。
後ろの少女は、楽しくなさそうな顔をしている。それに比べて、前方を行く少女はとても楽しそうだ。
その少女2人が店内を動き周る様子は、まさしく天使のように見えた!記念に録画したいところだが、行き交う人を避けるので精一杯だし、リスクが大きい。もし、誰かに見つかれば、「おまわりさん!こっちです!!」と通報され兼ねない。そんな愚かなマネはしない。
俺は目の瞳孔(どうこう)を全開にして、2人の少女の声を追いかけた。俺は声を追いかけるだけであって、彼女達を付け回すわけではない。ただ、彼女達の声が届く範囲で、昼飯を探しているだけである。たぶん、彼女達の声が届く範囲に親も居るはずなのだが、見当たらない。どうやら、彼女達の声を追うのは、俺だけのようだ。もし、店内で何か事件があっては困るので、俺は彼女達の声を追う。俺がボディガードというわけだ。
俺は弁当を適当に選び、彼女達の声をさりげなく追う。
「こんにちわ!」
「こんにちわ!」
その声を聞くたびに、俺は頭の中で声を再生し、綺麗な音色であることを確かめた。そして、その声を聞くたびに、俺の心が綺麗になる気がした。もし、大人が同じように元気よく挨拶しても、あの少女のような音色は聞けないだろう。俺はもう一度、少女の声を頭の中で再生し、『妹の挨拶が世界一!!』と考えた。
「あの、お客様?」
「す、すみません!!」
気が付けば、俺はレジの前に立っていた。なんてことだ!!失態だ!!俺は目の瞳孔を閉じ、目の前にある障害をどうするべきか、考えた。どうすれば、この状況から抜けれるだろう。お金がありません!と言えば、レジから抜け出せるだろう。簡単なことじゃないか!いや、ダメだ!レジに行列が出来ているし、店員はすでに俺の牛丼をレジ袋に入れている。言うのは簡単だが、俺のプライドが許さない。だったら、どうする?おとなしく、店の外に出るのか俺は……。
「あのー、お客様?298円です」
「す、すみません!!」
もう一度、謝ると、俺は考えるのをやめた。これ以上、ここに留まることはできない。俺は会計を済ますと、店内に足を戻した。
作品名:リピーター 作家名:セテゥンタ