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悲しい現実

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彼はオールした時に恋したという。ツッコム所は色々あるのだが俺は静かに聞く。
「あの時は美久は俺のこと嫌いだったらしい」
「へぇ~でも結局付き合ったじゃん。なんでまた別れたのさ?」
俺が聞くと将吾はうつむく、不良のこいつがうつむくなんて相当な目に合ったんだなと察し、それ以上何も聞かなかった。
「俺は裏切られた」
「は?あんだけラブラブしてたくせに?」
「まぁ色々あんだよ。てか親に別れさせられた・・・でも俺も・・・」
うつむく将吾を笑わせようとボケを入れてみるも、無反応。相当な目に遭ったと思われる。
「お前にゃ分からんよ。俺は裏切られた挙句、友達まで殺された。初めから騙されてたんだ俺らは」
「美久が裏切った?あんな優しいのに?」
「それも嘘だったんだ!あいつは・・・あいつは」
悔しそうな顔をする将吾、俺は無理やり話を止めた。
「もういい、つらいのは分かった。だからまた時が来たら話をしてくれ。今は親と、敬仁だけに話せばいい」
「その・・・」
かすかに聞こえる憎しみの声、将吾の声であって死神のような声。
「その敬仁が殺されたんだぞ!?美久が!あいつがハメたから!・・・」
「でも仇討ちはしたんだろ?ならそれでいいじゃないか。俺はちゃんと就職したけど、お前は仮にも暴走族のヘッドだろ?そんなメソメソするなよ」
俺は将吾の幼馴染、小学校からなんだかんだ言って一緒にいる。
すると1人、扉を開いてやってくる。
「いらっしゃい」俺が声を掻けると、小さく笑い
「まさかお前らがこんなとこにいるなんてな、しかもお前はこの店の店長か!小説家の夢はどうした!?」
と意気揚々と入ってきたのは、俺と将吾と同じ幼馴染兼親友だった。そいつは生ビールとつまみを頼むと、将吾の隣の席に座った。
「おい将吾、お前があのバイクの持ち主か?」
店の外を指差して将吾に尋ねる、「まぁな」と元気のない返事をするとビールを少し飲む。
ちょうど生とつまみが出来上がったころなので京治に渡す。
「あ、ありがとさん」

作品名:悲しい現実 作家名:DG4