【日常型素書き】創作で行き詰ったとき
あれほどキーボードの上で暴れていた両手が、文字通りひと段落を終えた途端にピタリと止まるということがある。僕の場合、毎回千字を越えた辺りからこれが発症する。頭が真っ白になって、不思議なほど文が思い浮かばなくなる。原因はだいたいが、展開を決めていなかったり、どのように新しい視点から(あるいはそのままの視点から)描写する場所を切り出すかを決めていないから起こることではあるのだが、決めていたとしても、もっと良い表現の仕方があるのではないか、この方法はなんか面白くないししっくりこないんだよな、という感覚に襲われたりもしている。ここの壁を越えられるかどうか(ヤケクソになって書き散らすのか、新しいアイディアを捕らえるのに成功するか)で二千字、三千字と文の量を増やしていけるのだが、それに比例して気に入らない文やたどたどしい文が気になるようになってくる。いつも通りに、推敲は推敲で別の時間にやればいい、とは思うのだが、それでも、気になる。当然、新しく書きだす文への集中力が削がれる。気に入らない文の割合が更に増える(冷静に考えれば問題の無い文であっても、だ)。今まで書いてきた文章がすべて陳腐に思えてくる。もう、ここらへんになってくると「普通ってなんだっけ?」とか「良い文ってなんだっけ?」とか「悪文ってなんだっけ?」とか益体もないことを考え始めたり、今日書いた分をドラッグで選択して、ワードの左下に表示される文字数を確認して「まだ千字もいってねぇのかよ」「たった千字かよ」「一日で一万字書いてみてぇよ」とか現実逃避を始めたりしている。(ちなみに今は、直前の文の句点までで643字だ)
しばらくすると、あぁ、この知識が足りないからだな調べなきゃ、確認しなきゃ、とグーグル先生に質問したり資料(活字ばかりの本とは限らない)を引っぱりだしたりする。
時として創作する者の義務として「娯楽の真髄を勉強しなきゃなゲヘヘ」と止むを得ず、仕方なく、苦渋の決断で、しょうがなく、必要にかられて、断じて怠慢などではなくこれは大切で必須なものなのだと、動物が脚で地を駆けるように、鳥が翼で空を飛ぶように、恐竜が昔地球上に存在したような宇宙的真理と、それらすべての源であるビックバンと同等の使命感にかられて、モンハン4をやったりする。
うっかりたくさんの時間を資料追究に費やしてしまうことがあるかも知れないが、それは創作活動の宿命であると言わざるを得ないだろう。
おや、外で小鳥が鳴き始めたぞ。
作品名:【日常型素書き】創作で行き詰ったとき 作家名:小豆龍