大人の言葉遊び(45)
触れる指先に生まれる光
瞬かず見つめ合う
奇跡の瞬間
またたきのはざま
ありのまま
そのままの
君でいい
野に咲く花は
飾っていない
靄たつ
曙の原に白い鳥
託す便りは
かすかなささやき
見つけられない言葉たち
儚くも
燃えて残りし
越す夜の
線香花火の
刹那愛しき
移ろわぬ
ものなどないと
知りつつも
変わらぬ想い
君に求める
流れ行く
雲の形の
移ろいに
遠い夏の日
天に目を留め
アスファルト
ひと夏鳴いて
尽き果てた
蝉の骸(むくろ)を
土に埋みぬ
ひと夏の
熱い想い出に
なれば良いなんて
そんなことない
来夏も一緒
覚えてる
君の好みも
あの夏も
だから二杯目は
ゆっくりと飲む
忘れられない
君去りし
あの夏
煙草の煙が
目に染みた
作品名:大人の言葉遊び(45) 作家名:智樹