moonlight 改稿版(前編)
一人だけスポットライトに当たっているせいか、生まれつき持っているそのイケメンな容姿が、女子たちの目に留(と)まってしまい、『キャア――――ッ!』と叫ぶ。
そんな汗を散らして一生懸命ベースをひいている輝くイケメンのワンマンステージに――見たこともない一面に、ネオたちは目も、身体も止まってしまう。
――コイツ、ステージに立つと性格変わるんだ……。
プロのアーティストの何人かは持っている二面性キャラが、すぐ近くにいたとは。
「か、かっこいい」
実緒も思わず見とれてしまう。
「すごいでしょ……後輩のくせに。こいつ、普段は全然喋らないのよ。イケメンでもたいしたことないなーと思ってたけど、ライブになるとこれなんだもん……」
ほんと、いつでもこのキャラでいてほしいと思う。
「この子、すごい人気ありそうだよね」
と実緒。
「うん。ライブが終わった後、わたしたちが楽屋が出てきた瞬間、タッくん――巧のことね、彼に会うために女の子たちが待っていたんだよ。それがすごくてさ、100人くらいいたと思うよ。『巧様――――っ!!』って囲んじゃって。アマチュアバンドでは異例だよ。まあ、党の本人はスイッチオフしちゃったからものすごく動揺してたけどね。あーあ、助けるのに骨が折れたわ」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ