小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
おもかぴえろ
おもかぴえろ
novelistID. 46843
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔法使い、旅に出る

INDEX|1ページ/11ページ|

次のページ
 


 ある日のことです。
 日々ぐうたら過ごしている自称ぐうたら煙巻き魔法使い(魔法使い登録は火炎の魔女)かぴーのところに一本の電話が入りました。

「もしもし~、かぴー?ウチの女神さんがイセ教会に連れてけって言うのよ~」

 電話をしてきたのはセンゲン教会のシスターでした。
 うわぁめんどくせぇと思ったかぴーは速攻で言いました。

「寝言は寝てから言えや」

 電話の向こうがピシッと音を立てシスターの声が一段と高くなりました。

「アンタ、そんな事言える立場~? 毎日ま・い・に・ちっぐうたらしてるアンタを庇ってんのは誰だと思ってんのぉ?」
「……ちっ。いついけばいいのよ?」
「今すぐよ」

 ガチャンっと電話が切れました。
 つーつーと鳴る電話をかぴーはしばらく見てましたが、ツカツカ窓に歩みよると部屋から見えるお山に叫びました。

「さくちゃん! 自力で行けよっ! 気がつきゃ勝手に出かけてるじゃないかっ!!」
『やぁよぅ。連れて行きなさい?』

 きゃぴきゃぴしている女神さん。

「~~~~~!」

 くぅそぅと思いながらかぴーは教会に向かうのでした。



 センゲン教会、シスター執務室にて――。

「シスター・シリトン、質問です!」

 すちゃっと元気良く挙手。

「はい、かぴーさん?」
「サクッヤー姫神様をイセ本教会にお連れしたくても『器』が帰省中で居ません。どうしたら良いですか?」

 かぴーの質問にシスターはきょとんとした顔を見せた。
 そう、戦って癒せて尚且つ『器』に最適な勇者はここシゾーカから遙か遠くアオモッリーに帰省中。
 器とは依代を意味している。

「え? 何を言っているの?? 別にアナタでも構わないからアナタに話をしているのよ?」
「や、だからね。憑くと重くて疲れるから。なのにヒーラーの竜女(死神憑いてるけど)と勇者は居ないわけ。誰が私をカバーしてくれるのよ? どうせすんなりイセに着くわけじゃないんでしょ?」

 竜女とは竜の血を引く女性のこと。
 かぴーの旅仲間の竜女はタイミング悪く修行にこもったばかり。

「そうね」

 シスターにっこり。

「そうデショ」

 かぴーもにっこり。

「さくちゃんは訳あって漫遊をしてからイセに行きたいのだそうよ? つまり」

 実は意味深な言葉を明るくシスターは言った。

「これは公務に準じます♪」

 ニコニコ笑顔。

「それにヒーラーのひとりやふたり、知り合い居ないの?」
「そりゃあ居るけどさー。遠いしー金ねーしー」
「居るなら良いじゃない」
「話聞けよ!」

 シスターの笑顔がやたら黒く見えたかぴーだった。



「――と言うわけで、ヒーラーか癒やしの魔法使いを絶賛募集中なんです、犬さんどうす…」
「行く行く行くー! 行きたいー!!」

 受話器から届く弾んだ声につられて口元が緩む。

「じゃ~、その内そっちに着くと思うんで待っててネ☆」
「待ってるね☆」

 ルン♪と効果音が出そうな勢いだ。

 さぁて出かけよう。
 ちゃっちゃと行ってちゃっちゃと帰ってぐうたらしよう。
 かぴーは一歩を踏み出した。


クエスト
癒やしの魔法使い、犬と合流する
ヒント
犬はグーンマーに住んでいる