徒然な日常
近頃「眼」の強化を図ってる祐ちゃん。
視えないよりは視えた方が何かと都合が良いのだそうな。
本人は視る=見るの感覚で四苦八苦中なのですが……。
そんな彼を肴に年長組はなっちゃん宅で家飲み。
「祐ちゃんの成長には目を見張るものがあるわ」
感心しきりのなっちゃん。
「そうね。元々持つ才能なんでしょうけどね」
普通に修行してる人のン十年単位が数ヶ月だもの、あぁ本当に修行寺にブチ込みたい…。
遠い目をしておねいちゃん。
祐ちゃん、実はブツを触る手が確実に眼の代わりを果たしています。
「なんで眼に拘るのかしらね? あの触覚だって視えてる事の内なのに」
何度言っても聞きやしない。
「知ってた? 白黒や単色じゃなくてフルカラーでリアルで視たいんだってよー?」
「はぁ? そんなもん厄介なだけじゃないの。わからない子ねえ」
「あたしが視えにくいからじゃない? なんかひとつ勝ちたいんじゃないの~」
ケラケラ笑いながらなっちゃん。
「視ることに関してはあたしよりよっぽど上手くなってきたねー」
「それ教えておあげよ、なっちゃん」
「ヤダ。だって図に乗るもん」
『だって出来ちゃうんだもん』なんてとぼけてないで、ひとつぐらい苦労してみればいいのよ。
しらーっとぐびっと一口。
「スパルタねぇ」
「あら、そんな酷い。ちゃんと答えは教えてあるのに」
解を与えて定理を求めろと言うなっちゃん。
これがスパルタでなくてなんだと言うのか。
まぁ、面倒臭がりな上にへそ曲がりだから仕方ないわよね。
あたしも人のこと言えないけど、と苦笑いのおねいちゃんでした。