大人の言葉遊び(37)
月は巡りて 今はいずこに
今はもう 逢えない日々が 続くのに
唇の記憶 いまだ鮮やか
二人の間の
沈黙は
言の葉が
ないのではなく
溢れるのを抑えてる
溢れる言葉
抑えられず
君を見つめ
唇だけで
好きという
雨上がり 窓にこぼれる 水滴を
指先にとり 君の名を書く
夕立上がり
雲間から
射し込む光 水
滴煌めく
木の葉の掌
雲間から 流れる風は まだ熱く
降り足りないと 誰かささやく
この想い
届くなら
雲に乗せ
君の心と体も
熱くなれと
届かない もどかしさも 恋のうち
積乱雲は すでに彼方に
確かめる 必要はないと 言うけれど
不安な心が 言葉を求める
作品名:大人の言葉遊び(37) 作家名:智樹