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キスマーク

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いつだったか、確か私がまだ七歳で弟が五歳だった。
裏山で遊んでいたとき弟の首や手や顔に赤い跡が付いていた。
痛くないのかと聞くと、痛くないと首を振る。
不思議に思ったが痛くないと言うのでそのまま遊んだ。
その赤い跡は時々現れた。
特に裏山で遊んでいるときは頻繁に。

そういえばおじいちゃんが言っていたか、、、
裏山には綺麗な女神さまが居る、と。






ふと思い出した。
今日は久しぶりに弟とふたりで飲んでいるからだろう。
「ねぇ覚えてる?お前小さい頃よく体に赤い跡できてたよね?」
「あぁ。そんなこともあった気がする。」
「なんかね、今思えばあれキスマークに似てるなって思ったんだ。」
「なんだそれ。」
弟は笑いながら水割りを飲んだ。
「だっておじいちゃん言ってたじゃん。裏山には女神さまがいるって。」
「え?なに?赤い跡はその女神さまのキスマークだってこと?」
「うん。」
「じゃあ女神さまは俺に惚れてるってことだな。」
弟は笑いながらつまみの塩辛を食べた。







弟の死体が発見されたのはそれから一ヶ月後。
裏山に流れる小川のほとりであった。

なぜ弟が死んだのかはわからない。
他殺なのか、自殺なのか、事故なのか。
だが弟の死顔は安らかなものだった。
笑顔。

ただ弟の体中に幼い頃見たあの赤い跡があった。




私にはキスマークに見えて仕方がない。
仕方がない。
作品名:キスマーク 作家名:相模坊