大人の言葉遊び(30)
言わないし
聞くこともない
ただ二人きりで
いたかっただけ
何も聞かないと
言ったけど
ひとつだけ聞く
一緒に居たいのは
他の誰かではなく僕？
素直になれど
我が心
光に惑う蛾の如く
愛しき人の
まわりで身悶え
花畑 舞う蝶は 不器用で
花から花へとは 移れず一途
羽休め 傷を繕う 傍らに
見守る風の 吹く温かさ
羽根休め
夜のとばりが降りる頃
葉陰に憩う仮宿に
心地よき風
吹き渡る
話すこと なくていいから 電話して
声の響きが 心にしみる
響き合う 心の揺れに 酔いながら
熱に浮かれし 陽炎かと思う
揺らめいた 陽炎の奥 見つけしは
変わらぬ日常 見慣れた風景
夜が更けて 見えない星を 追いながら
形なきもの 在りばと願う
作品名：大人の言葉遊び(30) 作家名：智樹