神様立候補者
「お願いだ助けてくれ」やら「もう悪いことはしません」だの所詮口からの出まかせ。我はいつここにいたかわからない。一人の人間に「今は地球はあれからどのくらいたった」と聞くが、我でも「あれ」がいつなのか分からない。
我はたまに思う。我は閻魔大王という名のか、それ以外に名前があるのか。第一ここに来る人は誰に仕分けされてるのかすら知らない。
「閻魔大王様。今一人を天国に連れて行きます。なにやら手違いがあったらしくて」
「あぁ、いいぞ。連れてけ」
一人の青鬼は地獄の門を開けるとそこに天国があった。何年生きたか知らないが、これは始めてみた。我は頓馬を呼ぶ。
ここ地獄は王がつくのが4つある。
まず我、閻魔大王。次に頓魔大王。そしてその次に禅魔大王。最後に重魔大王。閻魔は言うなら総合監督見たいなもの、頓魔大王は我の補佐、禅魔大王は鬼共を仕切る、重魔は禅魔の補佐。だが、頓魔と重魔の役目は暇だ。我はただの鬼から閻魔まで階級を上ってきたが、補佐といっても何もすることがないので閻魔や禅魔に呼ばれるまで暇な鬼どもと話すだけ。
「頓魔!おい頓魔大王!お前の出番だぞ!」
「はいはいさ~!何親父~?また掃除の手伝い~?ダルいからパ~ス」
「いやいや、息子よ。今日はこの地獄をお前に譲ろうと思ってな、しかも今日はお前の誕生日だろ?」
「マジで!サンキュー親父!でもなんで急に」
「理由は暇だからだ。少なくとも我は100世紀はこの地獄を見てきた。だからもう隠居もいいかな~だなんて思ったり・・・とにかく地獄はお前に任せたぞ!頓魔!いや、狩魔!」
「あいさ親父ィ!俺に任せときな!」
我は息子に地獄を託し、地獄の門を開ける。本来はだめなのだがばれなきゃいい。
だが、すぐ神様に見つかった。
「これはこれは閻魔さん。なに御用でも?」
「あ~いや~その~実は~我、もう閻魔止めました。だから次は神様になりたいな~と思いまして」
「それは前代未聞の行いですね。ですが言ったからにはちゃんとした聖服を着ていただきます」
神様はポンっ!と我に合うサイズの服を出し、我に着させる。我はもとは鬼、気を使ったのか、下は白と黄色のしましま模様だ。
「では、今日から神様立候補者の閻魔さんです。精進して早く神様になる日をお待ちしております」