死神の涙
だがなぁ、俺はある日人間にばれちまって俺のプライドがズタズタに引き裂かれたわけよ。で、俺は閻魔大王様に許可をもらって今は家でコーヒーを飲んでる。はぁ、とため息が止まらない。俺はクールなはず。なのにだ、たかが一人の人間にばれて、殺し損ねただなんて同僚に言ったら笑いもんだぜ?俺は通称「影の死神」の異名をもっているのに。そこにチャイムが鳴る音がする。
「宅配便でーす!カルザさんのお宅でしょーかー!?」
宅配便?この俺に宅配便だと?笑わせるな、俺は死神第一特権屍殺しの段を持っている俺に?まぁ階級は関係ないか。じゃあなんだ?まさか俺にラブレター!?それは早く出なくてわ!
「はいはーい!俺がカルザだぜ!ラブレターだな?サンキュー!だが、俺は男興味ねぇぞ?」
「ち、違います!自分はただの宅配便の人です!それは多分ファンレターですよ!」
「ファンレター?俺にファンがいるのかよ?」
「はい!なんせ自分もカルザさんのファンです!だからサインいただけますか?」
「あ?あぁ。さ、サインな?」
俺にとって、これは初体験だ。ちなみに俺は魔界じゃ有名らしい。なんせ俺は一番階級が高い、尚且つ暗殺者としても働けるからな。故に俺は毎日忙しい。家に居る自体珍しい俺だ。だからハッキリ言うけど俺なんかにサインはない。俺は今サインを必死に考え、それを練習をする。
「あの~カルザさん?お忙しいでしたらまたの機会にしていただきます」
と言って宅配便の奴は俺の家から去って行った。俺は初めての体験と共に始めて俺にファンがいることを知った。ハハハ!笑える。俺にファンだと?人間に見つかった挙句、そいつを殺し損ねた俺なのに?もうクールでもない俺に?
「全く、情けないな俺は・・・」
と呟いてみる。あれ?視界が水で見ずらいぞ?水?俺の目からか?涙?俺が?涙?俺は洗面所の鏡を俺の顔を見てみる。涙を流していた。人間界じゃ俺らの顔は醜い顔だ。魔界でも俺はブサイクだ。だからだろう、俺が死神になりたいだなんて思ったのは。
「しっかし、俺も堕ちたな。大死神様がこの有様だ。ファンの存在すら知らなくって、家でごろごろしている。おまけに今泣いている。きっとブログでは俺は馬鹿にされてんだろうな」
俺ら死神含め魔界に住んでいるものの涙は赤い。だが、見てみろ。俺の涙は透き通った透明だぞ?嘘じゃん。魔界人の涙が赤いって。
クソっ!涙が止まらん。なぜなんだ。俺はなんでこんなにも・・・こんなにも悲しい顔をしてるんだ。
「チクショウ!」
俺は鏡を殴る、手から青い血が流れる。痛い、破片が手の甲に刺さった。馬鹿だな、俺は。クールに、尚且つスマートでいなきゃいけないのに。
そうしないと死んで俺が地獄逝った時、あいつに顔向けできない。