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気持ちのいい朝

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爽やかな風と、まぶしい太陽
 チュンチュンと朝の天然の音楽が聞こえる。
 テレビの占いで私の星座は一位だ。



 今日は気持ちの良い朝。
 私は部屋をぐるりと見渡す。
 南向きの日当たりの良い部屋は、この家で一番良い部屋だと、いつもお母さんが言っていた。
 自分の好きなものが揃うこの部屋はどこよりも居心地がいい。
 外に出たくなくなる。
 私は深呼吸をした。
 お気に入りのアロマの香りが鼻をくすぐった。




 それから、窓を少し開けて、風を入れる。
 朝の空気は嫌いじゃない。
 隣の家の子供たちの声が聞こえる。
 朝から元気だ、私もそんな時があったなと思わず思い出して笑ってしまった。
 そう、なにも知らない無邪気な声がかわいらしい。



 かわいくて、泣けてくる。



 戻れるものなら戻りたい。
 誰にでも愛される子供という存在は無敵だ。
 親に守られ、おおっぴらに甘えることができる。
 例え犯罪をおこしても、少年法という素晴らしい盾がある。
 戻りたいなぁ。



 階段を上がって来る音が聞こえる。
 私が降りてこないから、お母さんが上がってきたみたい。
 今日のお母さんのご飯は何かな?
 お母さんは料理が上手。毎朝手のこんだものを作ってくれる。
 いつもありがとう。
 今日の朝御飯、食べたかったな。



 あぁ、なんで。




 なんで私、こんなことしたんだろう。




 今になって初めて知った。



 朝ってこんなに良いものだったんだ。
 朝日って気持ちいいものだったんだ。

 

 もったいないことしたな。
 いつでもできるのに。

 


 お母さんが部屋に入ってきて叫んだ。
 私の体がぶら下がってたから。
 泣き叫びながら私を下ろそうとしてくれてる。
 無理だよ。
 お母さん私より背も低いし細いもん。



 それに。



 私。



 もう死んでるよ。


作品名:気持ちのいい朝 作家名:なぎ