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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 外伝3 前日譚:カズン

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 8個の戦輪はルーファスを守るかのように飛び周り、時に番犬が飛びかかるかのように軌道を変えて兵士たちに襲いかかる。
 その死角のない刃の防壁に、兵士たちは為す術も無く立ち尽くす。



 一人で十人を相手にするのは不可能である
 ただしそれは相手と自分の体格が同じくらいであった場合だ。
 一回り体格が大きければ、相手を振り払うことはたやすく、3人くらいなら相手にできる場合がある。
 そして、その体格差が一回りでなく、二倍、三倍であったならどうだろうか。
「起きろ、ユングフラウ。」
 カズンの10本の指から伸びた青く光るオーラの糸が街の石畳に触れると、そのオーラの糸が触れた地面が盛り上がり、
 美しい少女の形を成していく。
 その少女はひとつの巨大な石から掘られた彫像のような少女だった。
 石でありながら、美しく、繊細で、それでいて巨大だった。
 その十人の少女はカズンと教会を守るように並び、兵士たちと向き合っている。
 クロエの言うとおり、カズンには戦うための筋肉がない。
 なぜならば、そんなものはカズンには必要ないからだ。
「スタンピード。」
 カズンがそうつぶやいて指を軽く動かすと、少女たちは兵士達を蹂躙した。
 美しく繊細な造形を誇りながらも固く大きい石の拳は易々と兵士たちの鎧を打ち砕き、極め細やかな石の肌は兵士たちの攻撃を受け止めその剣をへし折った。


 最初は相手はふたりだけだと侮っていた兵士たちだったが二人の力を見て逃げ出すもの出始める。
 そしてそれは、どんどん広がっていき、30分もすると、カズンとルーファスの前から敵の兵士は全員姿を消していた。
 兵士が全員撤退したのを確認した二人は、自分たちの得物をしまい、へたり込むようにして背中合わせで地面に座った。
「終わったみたいだね。」
「ああ・・・」
 遠くから二人のほうへ歩いて来るアレクシスとアリス、クロエの姿を認め、カズンとルーファスは笑顔で拳をぶつけ合い、お互いの健闘を讃えた。