世界を支配する方法 其の十(最終回)
「世界を支配する方法」
【其の十(最終回)】
俺:「『地球植民地化計画』……つまり、あんたら『レプティリアン』たちは、俺たち『一般市民』である『人間』を『食用の家畜』と『働かせるための奴隷』にするつもりなんだろ?」
老人は不気味な笑みを浮かべたまま、愉快そうに答えた。
老人:「ああ、そうだ。お前たちはわたしたちの『食料』であり『奴隷』だ。自然だろ?」
俺:「……」
老人:「お前たち人間が『牛・豚』にやったことと同じことをやるだけだ。『食物連鎖』だよ『食物連鎖』……これまで『人間』の上が存在しなかっただけで、お前たち人間はピンッと来ないだろうが、これが現実だ」
俺:「……そうだな。お前の言う通りだと思うよ」
老人:「ほう、物分りがいいな」
俺:「まあな、Aにもその話は嫌というほど聞かされたからな」
老人:「ふふふ……そりゃあそうだろう」
そう言うと、老人はさっきまでの「不気味な笑み」や「残虐性をむき出しにした顔」を止め、また、最初の威圧感だけが強いだけの老人に戻った(それだけでも充分、怖いのだが)
老人:「……それで、お前はAを裏切るのは、このわたしたち『レプティリアン』に『歯向かっても無駄だ』と思ったから……ということかな?」
俺:「ああ、そうだ。そして、できれば俺を『一般市民』ではなく、あんたたち『0.1%の超エリート、超富豪階級』に入れて欲しいんだ。もちろんタダで……とは言わない。もし、この俺の要求を飲んでくれるのであれば、Aの連中のスパイになって、あんたらに情報提供するというのはどうだ?」
老人:「……ほう、なるほど。悪くない話だ」
俺:「ほ、本当か?」
老人:「うむ。わたしたちはAの奴ら……『ドラコニアン』の連中の『神出鬼没』に対応できていないからな」
俺:「『ドラコニアン』……? Aの奴らの組織の名前か?」
老人:「ああ、そうだ。何だ、聞かされていなかったのか?」
俺:「まあな」
老人:「そうか。まあ、そんなことはどうでもいいことだがな。では、改めて確認するが、お前はわたしたち『レプティリアン』の仲間になりたい……と、そういうことだな?」
俺:「ああ」
老人:「そうか、わかった。では、その要求を飲もう。そして、お前はこれからも、奴ら……『ドラコニアン』と接触をし、わたしたちに情報を提供しろ。それで、この取引は成立だ」
俺:「ありがとう」
老人:「では、お前をこれから我らの『仲間』にするための『儀式』を行う」
俺:「ぎ、儀式?」
老人:「な~に……何もお前を『取って喰う』なんてことを言ってるんじゃない」
俺:「はは……笑えない冗談だ」
老人:「わたしたちの仲間になるには、『お前の血を吸う』必要がある」
俺:「血を……吸う? 吸血鬼みたいなこと?」
老人:「ほっほっほ……まあ、そうだ。ちなみに、その『吸血鬼』の伝説の元は我ら『レプティリアン』の比喩に過ぎぬ」
俺:「な、なるほど」
まさか……「吸血鬼」は「レプティリアン(爬虫類人)」とはな。
老人:「では、こっちに来て、お前の首を出せ」
そう言われると、俺は老人のところに移動し、首を出した。
老人:「吸血鬼と同じように、首筋からお前の血を吸うことで、我々の他の仲間も『感覚』でお前を仲間だと認識できるようになる、では、いくぞ」
老人が俺の首筋を「吸血鬼」のように吸い付いた。
老人:「!?」
老人はハッとした。
だが、それはもう……遅かった。
老人が俺の首を噛んだ瞬間、老人の源である「魂」の部分が「浄化」された。
「浄化された」とはつまり……「殺された」ということだ。
経緯はこうだ――まず、言い方が難しいが、Aの奴は自分を「エネルギーの塊」のような状態に変態することができる。
そして、その状態でAは自分の「エネルギー」を俺の体内に注入していた。
そして、老人が俺の首を噛んだ瞬間、そこから体内に注入している「Aのエネルギー」が老人の中に入ることにより、老人の「魂そのもの」に干渉することができるらしく、それを利用して「浄化」した……らしい。
俺にはよくわからんが、そういうことがAの連中にはできるとのことだ。
そして、その後、Aは殺した「老人」の肉体をそのまま利用することになる。
――つまり、Aが「老人になりすます」ということだ。
現状は「俺が老人に首元を噛まれている状態」となっているが、しかし実際の老人の中身は完全に「A」となっている。
そして……、
老人(A):「うむ……これでお前はこれから私ら『レプティリアン』の仲間だ」
俺:「は、はい。ありがとうございます。がんばって働きます」
老人(A):「うむ。では、今日はこのまま私ら組織の者たちにも紹介をしよう。ちょうど、この後、『定例会議』があるのでな、そこに君も来なさい。では、おい……お前」
老人(A)は、俺の横にいた「男」に声をかけた。
男:「はっ」
老人(A):「この後は、このまま会議会場まで行ってくれ」
男:「わかりました」
そういうと、男は俺らに背を向け、玄関に歩いていこうとした。
すると、老人(A)は、すかさず、その「男」に飛びつき、そして首元を噛んだ。
俺:「えっ……?」
すると、「男」の雰囲気が変わった。
男(A)「やあ、私です。Aです」
俺:「Aーーーーっ!」
つまり、老人(A)が「男」を噛み、そこからまた「老人」を殺したときと同じように「魂」ごと浄化し、Aが「男」の身体も乗っ取ったということになる。
つまり、今、目の前にいる「男」と「老人」は同じ「A」ということになる。
俺:「大丈夫なのか? その会議の場所とかわかんの?」
男(A)「ああ、大丈夫です。この男の体内の記憶や感覚もすべて残っているからね」
俺:「な、なるほど」
老人(A):「どうしました? 呆けた顔をして?」
俺:「いや、そりゃ呆けるよ。『老人』も『男』も同じ『A』だなんて……」
老人(A):「なるほど、そうですね。人間にはできない芸当ですからね」
俺:「つまり、こうやって『レプティリアン』の連中を片っ端からどんどん『浄化して乗っ取っていく』ってわけか……」
老人(A):「まあ、そういうことです」
男(A):「あくまで『レプティリアンの連中』だけですけどね。『レプティリアン側の人間』にすることは、我々のほうでの『ルール違反』となってしまうので、それはできませんが」
老人(A):「『レプティリアン側の人間』を変えていくのは、あなたたち同族である『99.9%の人間』たちの仕事であり、その者たちを『気づかせる』ことが、あなたの任務です」
俺:「わかってるよ」
男(A):「一緒に頑張りましょう」
俺:「ああ。これから『世界を取り戻す』ために、俺のできることをやるさ。『地球植民地化計画』なんて真っ平ゴメンだからな」
老人(A):「はい」
男(A):「頑張りましょう」
こうして、俺と老人(A)と男(A)は、この後、別れた。
作品名:世界を支配する方法 其の十(最終回) 作家名:mitsuzo