【実話を元に】友達の友達がとてつもなく可愛い00【仮想】
それは大学3年生の春だった。
ネットの友達であるソウタに誘われて、新しいゲームを始めた。
最初は私が慣れるまで二人でずっと練習していたのだが、
そのうちソウタが私と二人という状況に飽きはじめ、ソウタの友達と一緒にすることになった。
「はじめましてーイマイです」
「アズマです」
イマイさんはテンションが高めのムードメーカーで、アズマさんは落ち着いていて穏やかでみんなをまとめる参謀といった感じ。
「キョウです。初心者でとてつもなくへたくそですがよろしくお願いします」
始めたばかりの私と、イマイさんのゲームスキルはどっこいどっこいであり、アズマさんはとても精通している印象を得た。
基本的にソウタと私が二人でゲームしていることが多く、ソウタと仲の良いフレンドがオンラインになれば一緒にパーティーを組むといった流れが多かった。
そんなある日、みんなでゲームをしていると、ヘッドホンから電車の音が聞こえてきた。
「誰だー今の電車の音は」
イマイさんが笑いながら冷やかす。
「どうせアズマさんだろ」
ソウタがすかさず答える。
実際にアズマさんのマイクが拾った音だったようでアズマさんは恥ずかしそうに照れ笑いをこぼした。
「家、線路の近くなんですか」
「そうなんだよね。1時間に1本とかなんだけど」
「うわぁ、うちの地元もそんなんですよ」
思わず自分の地元と同等の田舎住まいだとわかり、少し嬉しくなった。
「へぇ。キョウさんどこ住んでるの」
「うーん、私はあの県とこの県とあの府の県境に住んでます」
「あ、もしかして湖上市?」
「なんでわかったんですか」
思いっきり当てられて、私は笑いながらびっくりしていた。
「だって俺、折本市に住んでるもん」
アズマさんは流れるようにそう答えた。
イマイさんとソウタは住んでいる所がもともとの出身が遠いため、私たちの会話を話半分に聞いている様子であった。
今までインターネット上で何人かの友人を作って、交流もあったが、
ここまで生活圏がかぶっている人と出会ったのは初めてで、何とも言えない親近感を覚えた。
「じゃああのレンタルビデオショップ知ってますか?私あそこでバイトしてたんですよ」
「まじか。もしかしたら互いに顔見てるかもしんないな」
冗談交じりに会話を交わしていた。
元より、穏やかな雰囲気やゲームで私やイマイさんが失敗しても
「大丈夫」「しょうがないよ」「俺がなんとかするから」と言ってくれるなどで、私はアズマさんを頼れる存在だと思っていた。
それと同時に、その優しさはきっと私への興味が無関心だからなんだろうなぁと感じていた。
一抹の寂しさを抱えながら、それでも私はアズマさんと一緒にゲームできる機会を大いに満喫していた。
あれから1年以上経ったある夏の日。
やむを得ない事情によりやむを得ないダブルアーツをソウタとずっと繰り広げ、アズマさんと一対一で仲良くなる機会などなかった。
しかし、巡ってきたのだ。その日が。
ソウタはネット環境から離れており、私は夏休で暇を持て余しながらぼーっと一人でゲームに耽っていた。
独りで寂しくに飽きていたころ、アズマさんから誘いがあったのだ。
これ幸いと私はアズマさんの誘いに乗った。
他に友達が居るわけでなく、二人っきりで話し込みながら楽しむことができた。
アズマさんは私より1つ年上で、今は大学院に通いながらインターンシップでずっと働いている状況らしく
たまに会社での話をこぼしていた。
以前、最近「筋トレを始めた」と話していたことを私はふと思い出す。
アズマさんに興味津々な私はすかさずなんでまた、と尋ねたところ
「俺、あまりにも筋肉なさ過ぎて、職場で先輩に荷物持たせちゃったりとかしちゃうんだよね」
と、アズマさんは恥ずかしそうに答えてくれ、私は大層悶えることができた。
「そういえば筋トレ、どうですか」
「あー、できるときはやってるけど、どうなんだろ」
「それ、やってないんじゃないんですか」
「毎朝、早起きして歩いてるんだけどねー体力つかねぇわ」
早起きするアズマさんに萌える。可愛い。
会話の端々でアズマさんが可愛くて、益々興味が沸いて、もっと近づきたくなった。
予てから苗字が珍しく、ハンドルネームに関連があると話しているが、どうしてもわからなかった。
ゲームで使用しているIDに本名の名前がはいっているので、時折ネタにされており、
苗字を知ることが出来れば、きっともっと近づけると思った。
「そういえば、苗字ってなんなんですか」
「あー…えー、でもこの名字、本当に世帯数少ないみたいだからなぁ」
「私の本名教えるんで」
渋るアズマさんに交換条件を付きだしてみた。
「いや、キョウさんの本名知ってるし」
半笑いで返されてしまった。
それもそのはず、私は一度、みんなとゲームの最中、今日の出来事的に語りを進めている際に、つい癖で自分の名字を出してしまったのだ。
「えーそこをなんとか」
「探してみればいいよ。アズマの字入ってるし、あってたらちゃんと答えてあげる」
そういいながら、彼は私の実家を検索し始めたのだった。
私もヒントを手掛かりに、彼の本名を探しに探した。
しかし、どれも不正解で、なかなか正解を探し出せなかった。
「もう無理ですー教えて下さいー」
「んー、可愛くお願いしてくれたらいいよ」
「いやいやいやー私が可愛くとかどう頑張っても無理でしょう」
「ほら、がんばって」
この時、最高にアズマさんが意地悪で、私はときめきにときめいていた。
「えー…じゃあ、教えてくださいッ」
恥をかき捨て、精いっぱいのお願いをしてみる。
我ながらまったく可愛いとは思えない。
「ふふ…」
そして、アズマさんの失笑を買ってしまう。
「いやぁ、アズマさん意地悪ですね」
「キョウさんねぇ、いじめるの楽しいんだよね。こんな女友達欲しかった」
私はその言葉を聞き逃さなかった。
あわよくば、仲良くなればいいじゃない。
お近づきになって、お友達になれればそれでいい。
「友達になりましょうよ。私もアズマさんとお近づきになりたいですよ。なので、教えて下さいよぉ」
「んーしょうがないなぁ、いいよ。実はね、東風っていうんだよね」
「東風かー想像つきませんでした」
アズマさんの本名は東風宗吾だった。
「キョウさん確か苗字が泉谷で名前そのまんまだったよね。家見つけたわー」
「怖い!ずるい!!アズマさんも教えてください」
流れるように私はアズマさんの実家の住所まで知ってしまい、某サイトの便利機能でその家まで拝見することができた。
「いやぁ、生活圏だだかぶりですよね」
「そうだね。普通に近いもんね」
同等のやりとりを重ね、私はアズマさんのアドレスを手に入れることができた。
「キョウさんとゲームするの楽しい。まったりしてて全然疲れないよ」
「私もアズマさんと話すのすっごい楽しいです。いやぁ、ゆるーくできるから本当疲れないですね」
私はアズマさんにいじられるのがすごく嬉しくて、嬉しくて、この日はとても幸せな気分を味わえていた。
ネットの友達であるソウタに誘われて、新しいゲームを始めた。
最初は私が慣れるまで二人でずっと練習していたのだが、
そのうちソウタが私と二人という状況に飽きはじめ、ソウタの友達と一緒にすることになった。
「はじめましてーイマイです」
「アズマです」
イマイさんはテンションが高めのムードメーカーで、アズマさんは落ち着いていて穏やかでみんなをまとめる参謀といった感じ。
「キョウです。初心者でとてつもなくへたくそですがよろしくお願いします」
始めたばかりの私と、イマイさんのゲームスキルはどっこいどっこいであり、アズマさんはとても精通している印象を得た。
基本的にソウタと私が二人でゲームしていることが多く、ソウタと仲の良いフレンドがオンラインになれば一緒にパーティーを組むといった流れが多かった。
そんなある日、みんなでゲームをしていると、ヘッドホンから電車の音が聞こえてきた。
「誰だー今の電車の音は」
イマイさんが笑いながら冷やかす。
「どうせアズマさんだろ」
ソウタがすかさず答える。
実際にアズマさんのマイクが拾った音だったようでアズマさんは恥ずかしそうに照れ笑いをこぼした。
「家、線路の近くなんですか」
「そうなんだよね。1時間に1本とかなんだけど」
「うわぁ、うちの地元もそんなんですよ」
思わず自分の地元と同等の田舎住まいだとわかり、少し嬉しくなった。
「へぇ。キョウさんどこ住んでるの」
「うーん、私はあの県とこの県とあの府の県境に住んでます」
「あ、もしかして湖上市?」
「なんでわかったんですか」
思いっきり当てられて、私は笑いながらびっくりしていた。
「だって俺、折本市に住んでるもん」
アズマさんは流れるようにそう答えた。
イマイさんとソウタは住んでいる所がもともとの出身が遠いため、私たちの会話を話半分に聞いている様子であった。
今までインターネット上で何人かの友人を作って、交流もあったが、
ここまで生活圏がかぶっている人と出会ったのは初めてで、何とも言えない親近感を覚えた。
「じゃああのレンタルビデオショップ知ってますか?私あそこでバイトしてたんですよ」
「まじか。もしかしたら互いに顔見てるかもしんないな」
冗談交じりに会話を交わしていた。
元より、穏やかな雰囲気やゲームで私やイマイさんが失敗しても
「大丈夫」「しょうがないよ」「俺がなんとかするから」と言ってくれるなどで、私はアズマさんを頼れる存在だと思っていた。
それと同時に、その優しさはきっと私への興味が無関心だからなんだろうなぁと感じていた。
一抹の寂しさを抱えながら、それでも私はアズマさんと一緒にゲームできる機会を大いに満喫していた。
あれから1年以上経ったある夏の日。
やむを得ない事情によりやむを得ないダブルアーツをソウタとずっと繰り広げ、アズマさんと一対一で仲良くなる機会などなかった。
しかし、巡ってきたのだ。その日が。
ソウタはネット環境から離れており、私は夏休で暇を持て余しながらぼーっと一人でゲームに耽っていた。
独りで寂しくに飽きていたころ、アズマさんから誘いがあったのだ。
これ幸いと私はアズマさんの誘いに乗った。
他に友達が居るわけでなく、二人っきりで話し込みながら楽しむことができた。
アズマさんは私より1つ年上で、今は大学院に通いながらインターンシップでずっと働いている状況らしく
たまに会社での話をこぼしていた。
以前、最近「筋トレを始めた」と話していたことを私はふと思い出す。
アズマさんに興味津々な私はすかさずなんでまた、と尋ねたところ
「俺、あまりにも筋肉なさ過ぎて、職場で先輩に荷物持たせちゃったりとかしちゃうんだよね」
と、アズマさんは恥ずかしそうに答えてくれ、私は大層悶えることができた。
「そういえば筋トレ、どうですか」
「あー、できるときはやってるけど、どうなんだろ」
「それ、やってないんじゃないんですか」
「毎朝、早起きして歩いてるんだけどねー体力つかねぇわ」
早起きするアズマさんに萌える。可愛い。
会話の端々でアズマさんが可愛くて、益々興味が沸いて、もっと近づきたくなった。
予てから苗字が珍しく、ハンドルネームに関連があると話しているが、どうしてもわからなかった。
ゲームで使用しているIDに本名の名前がはいっているので、時折ネタにされており、
苗字を知ることが出来れば、きっともっと近づけると思った。
「そういえば、苗字ってなんなんですか」
「あー…えー、でもこの名字、本当に世帯数少ないみたいだからなぁ」
「私の本名教えるんで」
渋るアズマさんに交換条件を付きだしてみた。
「いや、キョウさんの本名知ってるし」
半笑いで返されてしまった。
それもそのはず、私は一度、みんなとゲームの最中、今日の出来事的に語りを進めている際に、つい癖で自分の名字を出してしまったのだ。
「えーそこをなんとか」
「探してみればいいよ。アズマの字入ってるし、あってたらちゃんと答えてあげる」
そういいながら、彼は私の実家を検索し始めたのだった。
私もヒントを手掛かりに、彼の本名を探しに探した。
しかし、どれも不正解で、なかなか正解を探し出せなかった。
「もう無理ですー教えて下さいー」
「んー、可愛くお願いしてくれたらいいよ」
「いやいやいやー私が可愛くとかどう頑張っても無理でしょう」
「ほら、がんばって」
この時、最高にアズマさんが意地悪で、私はときめきにときめいていた。
「えー…じゃあ、教えてくださいッ」
恥をかき捨て、精いっぱいのお願いをしてみる。
我ながらまったく可愛いとは思えない。
「ふふ…」
そして、アズマさんの失笑を買ってしまう。
「いやぁ、アズマさん意地悪ですね」
「キョウさんねぇ、いじめるの楽しいんだよね。こんな女友達欲しかった」
私はその言葉を聞き逃さなかった。
あわよくば、仲良くなればいいじゃない。
お近づきになって、お友達になれればそれでいい。
「友達になりましょうよ。私もアズマさんとお近づきになりたいですよ。なので、教えて下さいよぉ」
「んーしょうがないなぁ、いいよ。実はね、東風っていうんだよね」
「東風かー想像つきませんでした」
アズマさんの本名は東風宗吾だった。
「キョウさん確か苗字が泉谷で名前そのまんまだったよね。家見つけたわー」
「怖い!ずるい!!アズマさんも教えてください」
流れるように私はアズマさんの実家の住所まで知ってしまい、某サイトの便利機能でその家まで拝見することができた。
「いやぁ、生活圏だだかぶりですよね」
「そうだね。普通に近いもんね」
同等のやりとりを重ね、私はアズマさんのアドレスを手に入れることができた。
「キョウさんとゲームするの楽しい。まったりしてて全然疲れないよ」
「私もアズマさんと話すのすっごい楽しいです。いやぁ、ゆるーくできるから本当疲れないですね」
私はアズマさんにいじられるのがすごく嬉しくて、嬉しくて、この日はとても幸せな気分を味わえていた。
作品名:【実話を元に】友達の友達がとてつもなく可愛い00【仮想】 作家名:めぐる