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シロクロモノクローム

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第二十六話:チャーター機、欲しくないか?



ああ、うん。なんというか、あり得ないことに対する耐性が上がってしまったせいか、翼竜の一匹や二匹、出ても驚かなくなってしまった。まあ、怖かったけれど。
大きさは、大体小型ジェット機位。日本の龍というより、どっちかっていうと、西洋のワイバーンといった感じの容貌。
火は吐かなさそうだけれど、怖いことには変わりない。けれど、ぼくは覚悟を決めていた。
生きるために戦う。たとえそれがどんな相手でも。
「こいつはちょうどいいときに、ちょうどいいもんが来たもんだぜ」
クオリアさんは上空を旋回している翼竜を見つめながら、不敵に笑った。
「おい、ナナ」
「はい、なんでしょう?」
「チャーター機、欲しくないか?」
まるで素晴らしい悪戯を思いついた小学6年男子の様な表情で、クオリアさんは言う。
「良いですね。空の旅ってあこがれます」
なんとなく、クオリアさんがやろうとしている事は解った。けれど、どうやるのだろう。
クオリアさんは、音声入力でタギングを始める。ぼくは頑張って何を言っているか聞きとろうとした。
―<tagging> hummer hammer size 5―7 <run>―
音声入力が終わると、クオリアさんは、一つの暴力的なまでに巨大な、一つのハンマーをかついでいた。柄の部分は、一本の電柱位の長さ。頭部はおそらく軽自動車程はありそうだ。
空を旋回していた翼竜が、こちらに向かって降下してくる。仕掛けてきた。
「足は肩幅、脇をかためて敵を打ち抜くように。ここ、小指が大事なんだよ。さて、クオリア選手、第一打席いきますか」

作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景