世界を支配する方法 其の六
「世界を支配する方法」
【其の六】
A:「起きてください……〇〇さん」
俺:「んんっ……」
俺は、目を覚ました。すると、そこはさっきまでいた俺のアパート……、
ではなかった。
俺:「?!……ど、どこだ、ここはっ!」
A:「はい。ここはわたしたちの『家』です」
俺:「あんたたちの……家?」
奇妙だった。いや……、
「奇妙な所」だった。
周りは、すべて透明な壁で、何となくだが「丸みを帯びた設計」の建物? みたいだった。いや、建物というよりもむしろ、
俺:「乗り物……?」
A:「さすがですね。そうです、ここはわたしたちの『家』でもあり同時に『乗り物』でもあります。要するに、あなたたちの言い方で言えば……『UFOの中』です」
俺:「……そうか」
A:「あれっ? 思ったより驚かないのですね」
俺:「まあな……」
俺はコイツの話を聞きながら今までのことを振り返りつつ、この部屋の周囲を見渡した。
これまでの経緯もよく考えれば「おかしなこと」ばかりだったし、実際、部屋で見せられた「証拠の数々」、そして、この見渡す限りの部屋の至るところに感じる「この世のものとは思えない造形や構造の数々」……こいつが「宇宙人」というのも正直、頷ける。
俺:「『論より証拠』……ってやつだな。俺の中では疑いようがもう……ねーよ」
A:「そうですか、ありがとうございます」
俺:「……で、今はどこにいるんだ? 俺の家の近くなのか?」
A:「いえ」
俺:「あ、そうか。目立つもんな……もしかしたら俺の家より少し遠くに見える森あたり?」
A:「いいえ、違います。ここは……『宇宙空間』です」
俺:「……」
俺は呆気に取られた。
ギャグ漫画であれば、口を開けて、間抜けな顔をしているだろう。
A:「……見ますか?」
と言うと、Aは俺の正面にある壁に向かって、指と腕を規則的な感じで振った。
すると、俺の正面の「壁」が透明になったと思ったら、外の「宇宙空間」の景色を映し出した。
俺:「げっ! 何これっ?」
俺は、中学生のような驚嘆の声を上げた……恥ずかしい。
まあ、でもしょうがないだろう。この壁に映し出された「宇宙空間」には「地球」も見えたのだから。
A:「まあ、『地球』ですね。あなた方の星です」
俺:「そ、それはわかるよ。わかるけど、すげえ……初めて見たよ。こんな景色……」
それは、確かに「地球」なのだが、これまで学校などで見たことのある「向き」の地球ではなかったから驚いた。
今、目の前に拡がる地球は「右斜め下」から見た地球だった。
俺:「南極大陸……かな?」
A:「そうです、南極大陸です。ちなみに、ここが地球へ侵入するための『ワームホールの入口』です」
俺:「えっ? ワームホール?」
A:「はい。わたしたち……というより他の星の宇宙船は皆、この南極大陸のワームホールを利用して地球へ侵入します。行きたい場所の座標を入力してワームホールに侵入すれば、その目的の場所に移動できるようになってます……が、今はその話は置いておきましょう。ちょっと『順序』が異なるので」
俺:「……」
あまりにも「次元の違う話」に言葉も出なかった。
もう「信じる・信じない」とか「そういう問題ではない」ということだけはわかった。
A:「さて、これで我々のことが理解できたかと思います。と言う訳で、あなたにはこれから『やっていただきたいこと』をお話します。ぜひ協力して欲しい」
俺:「わかった。でも、ひとつ質問なんだか?」
A:「何でしょう?」
俺:「どうして、あんたらが『直接』手を下さないんだ? こんな、地球よりもはるかに進んだテクノロジーを要しているあんたたちなら『思いのまま』じゃないのか?」
A:「それはできません」
俺:「どうして?」
A:「それは、『地球のことは地球人であるあなたたちの自らの手による行動の変革』が必要だからです」
俺:「自分たちの手で……ということですか?」
A:「そうです。それは向こう……つまり『NWO 新世界秩序』を推し進めている組織も一緒です」
俺:「!?……えっ? その言い方……それってつまり……向こうにも『宇宙人』がいるってこと、なのか?」
A:「そうです」
俺:「う、うそだろ?」
A:「本当です。ちなみに『NWO 新世界秩序』で先導している宇宙人は『レプティリアン』と地球上で呼ばれている連中です」
俺:「レプティリアン?」
A:「はい。『爬虫類人』と訳します。まあ、これは地球の人たちが付けた名称ですけどね。とにかくそれらが『NWO 新世界秩序』を先導している『元締め』です」
俺:「……つまり、その『レプティリアン(爬虫類人)』という奴らが、地球の人間を『利用』して自分たちの真の目的である『NWO 新世界秩序』を実現させようとしている……ということ?」
A:「そうです。まあ、あなたたちの言い方で言えば『地球植民地化計画』といったところでしょうか」
俺:「ち、地球植民地化……?」
A:「はい。最初に話した『エネルギー』の『既得権益の組織』とは元を辿ると、この『レプティリアン(爬虫類人)』たちにつながります」
俺:「ま……そ、そんな……」
とても信じられない話だった。
しかし、ここまで「宇宙人である証拠」を突きつけられた状態で聞かされている俺は、正直、混乱していた。
俺:「で、でも、おかしくないか? もし、あんたらが『手を出せない』って言うのなら、こうやって俺に『接触』して情報を公開しているのは……そ、その、何と言うか……ルールに反していないのか?」
うまく伝えることができなかった……が、Aはちゃんと俺の言いたいこと……主旨を掴んでいるようだった。
A:「はい。大丈夫です。我々の行動はすべて『許可の範囲』で動いていますので」
俺:「きょ、『許可の範囲内』……? そ、それって、誰かがこれを指揮しているってことか?」
A:「はい」
俺:「だ、誰だよ? あんたらのエライ人か?」
何か、もう、子どもじみた言い方しかできなかった。だが無理も無かった。こんな『異常な状況(UFOの中)(目の前には地球)』では……。
A:「まあ、間違ってはいませんが、あなたの仰る『エライ人』とは少し違います。言うなれば、わたしたちやその『組織』で先導している『レプティリアン(爬虫類人)』も含めたすべてにとっての『エライ人』と言ったところでしょうか? 理解できますか?」
俺:「……」
理解できるかっ!
A:「おそらく、今のあなたでは、それは理解できないでしょう。ですが、それは問題ありませんし、あなた方には現時点では必要の無い情報です。なので、この件については、これ以上話はいたしません。あしからず」
俺:「わ、わかった」
何もわからなかった。
だが、何となくだが、『今は聞かなくてもいいもの』だとも感じた。
『直感』というか、『インスピレーション』というか……そんなものの『強烈版』が俺にそうだと感じさせた。
うまく言えないが、そんな感じだ。
A:「では、早速、お話してもいいですか?」
俺:「ああ、教えてくれ」
作品名:世界を支配する方法 其の六 作家名:mitsuzo