最後の時 何を食べたいですか
「リクエスト食」を打ち出しているホスピス病院があるという。
毎週土曜日の夕食は患者さんの希望をかなえたものを出すそうです。
思い出のある食べ物を頼む人
いつも同じメニューを頼む人
むかし友人と一緒に食べたホットケーキ
故郷の味のラーメン
チョコレートパフェ・・・
一口一口味わいながら、そして噛み締めて・・・
何を思いながら 口に運ぶのでしょう。
事故などで突然亡くなる人は
食べたいものを食べることもできず
唐突に死を迎えるけれど
病気などの人は自分の生と死を見つめる時間が残されている。
本人の意思ではないので、選択のしようがありませんが・・・
父は突然の事故で42歳の若さで生を絶たれた。
お別れをいうこともできなかった15歳のわたし。
最後に父が食べたかったのはなんだったのだろうか。
わたしは残された時間に 何を食べたいだろうと考えてみた。
食にこだわりを持たないので
ゼッタイこれを食べたいというものはないだろう・・・と思っていた。
しかし よく考えてみると
卵焼きが食べたい!・・・と思った。
母が焼いてくれた甘~い卵焼き。
自分でもよく焼くのだけれど、なかなか母の味にはならない。
作品名:最後の時 何を食べたいですか 作家名:ゆう