Invader
お題:ちっちゃな計画 必須要素:小説 制限時間:30分
Invader
ふっと、僕は閃いたんだ。
この、退屈な日常を。
退屈な生活を。
ちょっとだけ、面白くしたいなって。
刺激的にしたいなって。
だから、僕はちっちゃなちっちゃな計画を立てたんだ。
本当に、ささやかな。
誰にも気にかけてもらえなくてもおかしくはない。
本当に、本当に
ちっちゃな計画だったんだ。
僕には、とても大切にしている一冊の小説がある。
小さい時から、何回も何回も読んでいる小説。
もう、表紙もボロボロで、ページも手垢で薄汚れている。
文面はほとんど暗記しているようなものだ。
この小説は、とてもメジャーな物とは言えない。
けど、僕にとっては大切な。
一緒に育った相棒なんだ。
だから、この相棒に手伝ってもらうことにした。
僕の最も気に入っている一文がある。
それを使うことにしたんだ。
僕は、マスコミに声明文を送った。
この小説の題名と、この文を書いて。
「一週間後、この文に書かれていることが実際に起こります」
とだけ。
何回も言うよ。
本当に、ちっちゃな計画だったんだ。
翌日から世間は大騒ぎになった。
小説の出版社には問い合わせの電話が殺到し、
作者は記者によってもみくちゃにされた。
僕は、当然その様子を見た。
びっくりしたよ。
でもね。
なんだか、ワクワクしてきた。
だから、もう、絶対に声明文のことは実行しようと思ったんだ。
そして一週間後。
僕は実行したんだ。
「この世界から人間が居なくなれば、
地球は美しい宇宙船で居ることができる」
僕が、小さい頃にはもう言われていた言葉なんだ。
でも、僕が大きくなっても、良くなるどころか、さっぱりだったね。
いつか綺麗な地球になると思ってたけど、やっぱりダメみたいだ。
このままだと、「地球」が「優良物件」として売れなくなってしまう。
だから、僕は、ちっちゃな思いつきからだったけど、
やっぱり全部人間を掃除することにしたんだ。
この「地球」は高く売れる。
広い宇宙空間の中でも、ものすごい優良物件なんだ。
できれば、人間の文明と共に売りたかったけど、
残念ながらもう待っているのは飽きたんだ。
もっと、人間たちにも「地球がいかに素晴らしいか」を理解して欲しかったんだけどね。
でも、お蔭で何百年がすれば綺麗な地球に戻っていくだろう。
君たちが住んでいる宇宙空間の「地球」は
こうならないようにしてほしいと切に思っているよ。
2013.08.20
フリーザ様のせいww