死人
昼に来た時はちゃんと鳴ったんだけど。
仕方ないので、ドアをノックする。
「なあ末西、ちょっといい?」
返事がない。
居ない筈はなかった。
聞こえてないのだろうか。
そんなに広い家ではないのだから、聞こえてないというのは変な話だった。
テレビでも見ていて聞こえないのだろうか。
扉に耳をあててみるものの、何も聞こえない。静かだった。
もう寝ているのだろうか。
まだ明るいのに有りえない話だ。
何か、あったのだろうか。
発作で倒れたとか。あり得ない話ではないけど、どうかなという感じだ。
「開けてみなよ」
と姉が言った。
開く筈はないけど、試してみる価値はある。