小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

欄干の少女

INDEX|1ページ/1ページ|

 
長良川の鵜飼の名所小瀬、鵜匠の館、足立家の横に赤い橋がある。
季節は春、心地よい川風が川下に向かって吹いている。
川の左岸近くの橋の上で、私はそよ風を頬に受けて上流を眺めていた。

 ふと足元を見ると、小石があった。
なにげなく拾い、白い鉄の欄干を1回軽く叩いてみた。
 かーん


 かーん かーん と今度は2回叩いてみる。
 コーン コーン と2度、やや遅れて、遠くから音が帰って来た。

(そんなはずはない!)

はるか向こうの、右岸近くの欄干に
セーラー服姿が小さく見える。
私と同じように欄干に身体を預けている。

今度は少し、強く叩いてみた。
 かーん かーん かーん

 コーン コーン コーン
確かにそれは、返事に聞こえた。

(もう1度やってみよう。こっちを見るかな)



『おーい、帰るぞー』
突然、兄の呼ぶ声がした。

はっと、我にかえった私。

自宅まで帰る途中、兄とは一言も口をきかなかった。
作品名:欄干の少女 作家名:桜田桂馬