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世界を支配する方法  其の弐

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  「世界を支配する方法」


【其の弐】


老人:「さて……早速だが君には2、3質問がある」

俺:「……でしょうね」

老人:「ふふ……なるほど。さすがはフリーの記者、自分の今の立場がよくわかっている、と言ったところか」

俺:「……」

最初から物凄い威圧感をもって、老人は俺に話し始めた。

老人:「まず……そのネタはどこから仕入れてきた?」

俺:「それは「ある男」から手に入れました」

老人:「名前は?」

俺:「わかりません。ただ、わたしは、突然目の前に現れたその『男』に、その『情報』と、その『情報』の根拠となる『証拠の数々』を見せられただけです」

老人:「……ふむ」

今、俺は、このネタを掴んだ時点で「どっちに転がっても助からない」……そういう状況にある。

大事なのは、「どうやって『死の確定』から譲歩をもらって『死を免れるか』」ということなのだ。

理由は、その情報の「中身」が「それだけの価値」があるからだ。

この「ネタ」が世に出てしまうと「誰もが否定できない事実」となって受け入れられ、現在の「世界システム」を崩壊へと導く……そのため、今、この老人と「取引」というカタチでこの場がある。

俺:「あの……すみません」

老人:「んっ? 何だね?」

俺:「俺は……殺されるのでしょうか?」

俺は、唐突に自分の抱いている「一番の懸案事項」「不安材料」を老人に突きつけた。

理由は、「はっきりさせたかったから」だ。

もちろん、そのつもりでこの場に臨んでいるとは言え、これを逆にはっきりさせておいたほうが、覚悟を決めて、その後の行動を冷静に判断できるると思ったからだ。

しかし、そんな俺の「思惑」は甘かった。

老人:「ほっほっほ……さーて、どうだろうか。それはこれからの『君次第』だ、な」

俺:「……」

老人には、俺のこの「思惑」もはっきりと見透かされていたようだった。

老人:「まあ、すぐには殺さん。すぐには殺さんし、もしかしたら殺さないかもしれない」

俺:「えっ?」

老人:「つまり……君には、まだ『助かる見込みがある』ということだ」

俺:「……どうかな」

老人:「ふふ……君は今、私から『命の譲歩』を引き出すことを目的としてここにいるだろう? 違うか?」

俺:「!?」

まるで見透かされていた。

老人:「まあ、別に『君の心を読んだ』ということではない。ただ単に、これまで『そんな場面に多く出くわしただけ』……つまり経験からによるものだ」

俺:「……なるほど。つまり、それだけ『リーク情報』が世に出るかもしれない状況は過去にいくつもあった……今回が特別というわけではない、そういうことですね」

老人:「なるほど、君は……かしこいな」

俺:「いえ、そんなことは……ないです」

老人:「まあ、君が今、思わんとしていることは概ね『正しい』。その上でこれからのことを話す。いいね?」

俺:「……はい」

老人:「まずは、君がその『男』から得た『ネタ』を教えなさい」

俺:「わたしが得た『ネタの内容』を、あなたは知らないのですか?」

老人:「ああ、知らない。だからこそ聞いているのだ。ちなみに……」

俺:「ちなみに?」

老人:「こういうのも『アレ』だが……君には『拒否権は無い』、そのことはわかってるな?」

俺:「……まあ、俺の命はこの部屋に来た時点で『あなた方』の手の平の上……いや、違うな、この『ネタ』を掴んだ時点で……かな?」

老人:「まあ、そういうことだ」

俺:「おまけに、ここからどうにかして『脱出』したとしても、『24時間以内』に俺の身柄を取り押さえることもできる……といったところかい?」

老人:「ほっほっほ……違うな」

俺:「……?」

老人:「『12時間以内』……だ」

俺:「……」

こんな奴ら(組織)に、どうして逆らうなんてできるだろう。

俺は老人のリクエスト通り、「ネタの中身」を説明した。