彼女との日々
翌年 5月3日
彼女が死んだ。赤ん坊も死んだ。
まるで、ペットの魚が死んだようなそっけない書き方だが、他の書き方が今は思い浮かばない……。この日記も変な書き方になっているかもしれない。
とにかく、説明する。
町に行き、ようやく良い薬を手に入れて帰ってみると、彼女が口から血を吐いて死んでいたのだ……。急いで彼女の元へ駆け寄ったが、もう冷たくなっていた……。だが、おれは簡単にはあきらめずに、すぐに蘇生作業を始めた。
人工呼吸と心臓マッサージを繰り返しおこなう。しかし、いつまでたっても彼女は生き返らない。彼女の蘇生をあきらめたときには、6時間ぐらいが経っていた。
目の前には、愛しのフェリシアが永遠の眠りについている。そして、彼女のお腹の中でも、赤ん坊が永遠の眠りについている。
そこでようやく、おれは彼女の死を実感することができた……。気がつけば、涙がどんどん滴り落ちている。それからどれほど長い時間、泣いていたのかは覚えていない。
女は星の数ほどいるとは言うが、彼女は、一番美しく輝いていた星だ。その他の星など、おれにはどうでもいい。
疲れたので、今はとにかく眠りたい。起きたら、これからどうするのかを決めることにする。