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おれは絶対ネコじゃない!! ~聞いてんのかコラ~

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<章=第一章>

「ねー、今観たい映画があるんだけど、どう?」
「どうって、何がだ」
 そっけなく返事をしたのが、麻実(あみ)紅夜(こうや)。
 艶やかな黒髪の美少年だ。
 身長は小さめで、百七十代には満たないことが、彼のコンプレックスである。
 お気に入りの作家の本を読みながら、通学しているところを彼に捕まった。
 並んで歩いている茶髪の彼は、唇を尖らせた。
 こげ茶色の瞳はいたずらっぽく輝いている。
「わー、紅夜、クール」
 妙に間延びした喋り方をする、隣の男は、秋谷(あきや)蓮斗(はすと)。天然の茶髪の彼は、よく言えば今風の男性で、悪く言えばチャラ男だ。風貌はともかく、彼もなかなかの美形だ。
「一緒に映画行こうって言ってるんだけど、伝わってる?」
「通信は拒否された。お前の言ってる事は一切こっちに届かん」
「ね、それどういう設定なの」
 冷たくされたにもかかわらず、笑みを絶やさない蓮斗。
 早足になる紅夜。
 蓮斗は約三歩で追いついた。
 足の長さを強調させられ、紅夜がむすっとした表情でくるりと振り返った。
「なんで、おれを誘うんだ」
 蓮斗はきょとん、とした顔をして、紅夜を見返した。
「あれ、おれ言ってなかったっけ」
「何をだ」
 紅夜が眉をひそめる。
 足が止まり、蓮斗と向かい合うようにしてたった。
 蓮斗がにこりと甘く微笑み、ぎゅっという効果音がぴったりな勢いで、紅夜を抱きしめた。
「――っ!」
「おれ、紅夜がだーい好きだから」
「はぁあっ!?」
 同じく通学中だった周りの生徒がざわめき、女子からは悲鳴が上がった。
 それがなぜが嬉しそうに聞こえたのは、気のせいだと思いたい。
 紅夜が、叫んだきり静止していると、
「ていうかー、言わなくてもわかるでしょー普通」
と、蓮斗が言った。耳につけているイヤリングがぶつかり、音を立てた。
 金属音が似合う蓮斗に見つめられる。
 軽い言葉とは裏腹な真っ直ぐな視線。
 どきりとした瞬間に、体の硬直が溶けた。
「い、いい加減にしろっ! おれをからかってそんなに楽しいか!」
 慌てふためきながら、蓮斗の腕から抜け出す紅夜。
 色白の頬が赤くなっている。
 本をカバンにしまい、冷静さを装うために、咳払いをして蓮斗をにらみ上げる。
「ちょっと、ヤバくないあの二人」
「ちっちゃい子ちょー可愛いんだけど」
「黒髪の子可愛くね?」
「可愛いー」
 男子の声も聞こえる。
 可愛いという言葉に紅夜はますます赤くなり、蓮斗の胸板を押した。
「って」
 体格のいい蓮斗はよろめきすらしなかったが、紅夜を捕まえようともしなかった。
 紅夜は足をもつれさせながら駆け出し、肩越しに怒鳴った。
「蓮斗のばかっ! 二度とおれに話しかけるな!」