自分革命
「うまい!」
腹の底から、湧き上がる、今までに無い味がした。私は一気に、ウィンナーを食べつくす。そして、再び、目を開けた。すると、先ほどまで映っていた光景がどこにも無い。
今度は、ご飯に箸をやる。そして、箸でご飯を持つと、私は公園のベンチをイメージした。公園に行ったことなど、この半年間、無かったが、私はとにかくイメージした。そして、私はそのベンチに座り、草木の味を鼻で堪能する。周りには公園で遊ぶ子供や、いちゃつくカップルが手を繋いで歩く光景も映ってしまったが、そんなことは関係ない。私はもう一度、鼻で息を吸って、草木の味を嗅ぐ。そして、ご飯を口へとほおりこんだ。すると、どうだろう。今度は腹の中でご飯が踊りだした。私の口の中に、ご飯の残りカスと唾液が広がる。私はそれらを余す残らず、胃の中へと、ほおりこんだ。そして、再び、目を開けた。
今度は、箸でイカの天ぷらを掴んだ。そして、目を閉じずに、辺り一面に広がる草原をイメージを想像してみた。すると、パソコンのモニタや机、目の前のカーテン、蛍光灯のランプが消え、目の前に草原が広がっていた。どこまでも広がる草原に注ぐ風と太陽、草木の臭いを堪能して、胃の中にイカの天ぷらをほおりこんだ。私の胃は、弁当に惚れこんでしまいそうなくらい、胃の中がとても、心地良い感じになった。私はそこで、筆を止めた。