いるいる辞典 ありがた迷惑な人
メールはどんどん入ってくる。読んでいるだけマシなのか。内容はありがた迷惑でしかない。いい加減うんざりしてきた。ケータイを放り出してやろうか。気付けば受信が満杯になっている。削除を試みるも面倒臭い。
とうとう頭に来てしまった。一体いつまで続くんだ。メール魔も大概にしてくれ。またメールが入る。反射的に着拒してしまった。その勢いでアドレス帳から彼女を全削除してやった。せいせいした。もういいや。風呂に入ってさらにスッキリしよう。
風呂から上がるとメールが入っていた。時間は22時前。誰だろうと開いてみるとさやからだった。そういえばこの間メアドを交換したんだっけ。なんとなくワクワクして読んでみる。
「そろそろコレが必要なんじゃない?」
なんのコトか分からずに添付画像を見てみる。一瞬で泣きそうになった。結婚情報誌だったからだ。すごい笑顔で撮ったに違いない。無視するのもなんなので、「結構です」と泣き顔を添えて返信した。女性には絵文字を使うのが基本と聞いたコトがある。すぐさま返ってきて、しょぼんとした絵文字が1つ。思わず吹き出してしまい、悪乗りして泣き顔を1つ送り返す。オレは何をしているんだ。
作品名:いるいる辞典 ありがた迷惑な人 作家名:飛鳥川 葵