キアゲハ蝶
小さな庭のキンカンの木に止まった
再び飛び立ち
上に下にと揺れながら飛んで行く
何処に行くでもなく庭を飛んでいる
5選を当てれば音符が並びそうな
君の歌声が聞こえてきそうな気がする
飛んでいるキアゲハ蝶は
とても優雅で生きるのに必死だなんて思えないけれど
浴衣姿の君を観た時もそうだった
仕事に追われて疲れていたなんて
綺麗な君を自慢したくて
随分と連れまわしてしまった
うさぎ追いし・・・
君は故郷を思い出していたんだね
君と別れるなんて思いもしなかったけれど
君の浴衣姿が君を観た最期だった
元気なのだろうかと
ただの友達だからそんなこと思うけれど
ただそれだけなのだ
ぼくは本当のこと言うと
君を恋人だと思っていたよ
偶然にぼくの肩に止まったキアゲハ蝶は
わずかな燐粉を残してくれた
君がぼくに残した想い出の様に・・・