choose me please part3
どうしていつもの場所にマキがいたんだ?
疑問ばかり残る。
「おーーーい、一馬くーん。」
「一馬ー?」
マキと愛華の間で何が起こってるんだ。
2人の関係はなんだ?
「一馬っ」
「んんん?なんだよマキ」
「さっきからずーーと呼んでるんだよ。今日の一馬ぼーっとしてるね!」
「わりぃ」
マキに直接聴くべきか…それとも愛華に…
「みなさんご機嫌よー」
すると、タイミングよく愛華が三人の前に現れる。
愛華は一馬の方をみて微笑みかける。
一馬には微笑みには見えなかった。
そう、悪魔の笑み…
「よぉー。今日は愛華来るの遅かったな!」
「ごめんねぇ?あたしに会いたくてたまらなかったでしょっ」
そんな冗談もうざく聞こえてたまらない。
愛華がいるだけで空気が悪い気がする。
「寂しかったよー」
マキがニコニコ笑いながら言う。
余裕のない笑み。
なんだかひきつってるかのように見える。
そうだよ、電話の事聞かなくては。
「なぁ、あい…」
「一馬今日のあさ電話ごめんなさい。間違い電話なの」
「あ、あぁ…」
「で、今あたしに話しかけようとしたでしょ?どうしたのっ」
愛華は満面の笑みだった。
なんでもないと、そっぽむく。
間違い電話であんなにかけねぇだろ。
絶対何かある。
「あ~そうだそうだ!放課後話があるんだけどいいかな?一馬」
話かけてきたのは辰巳だった。
辰巳の表情はいつもと変わらず。
辰巳のクラスに入ると薄暗く視界がよく見えない。
一つだけ見えたのは辰巳の背中。
「…愛華のことなんだけどよ」
突然口を開き始める。
背中からでも伝わってくる切なさ、そして悲しさ。
「あいつは危険だ。マキとあいつを二人きりにさせるな」
「まさか…お前も電話きたのか?」
一馬が辰巳の隣にそっと行く。
「あぁ、一週間前」
「…っ!なんでその時に言わなかったんだよ!」
辰巳の胸倉をつかみあげる。
「脅されてたんだよ!じゃねえとマキに手だすとか!」
「そんな脅しにびびってんじゃねえよ!女一人守れなくてどうするんだよ!」
「…お前にはわかんねえんだよ。マキが好き、ずっとずっと片思いしてるんだよ。俺はっ…」
ガタっ
その瞬間教室のドアの前にはマキが立っていた。
「うそ…辰巳…」
辰巳は一馬の腕をはらってマキを強く抱きしめた。
「なぁ…ずっと好きだったんだ…付き合ってよ…」
「マキも…マキもぉ…」
そうか、気が付くのが遅かったんだな
もっともっと早く気が付けばよかった
ほんと…情けねぇな
気が付いた次の日に取られちまうなんて…
はぁ…
ありえねぇ…
ほんと最悪。
「だーから最初からあたしにしとけばよかったのよ」
「お前じゃ満たされねえよ」
河原で座っていた時に突然現れる愛華。
こいつはどこにでも現れるんだな。
「あたしの何がダメなの?あの子よりかわいいじゃない」
涙目の愛華は一馬の背中に語りかける。
「あたし、本気で一馬が好きなの…ねぇあたしのこと好きになってよ!」
そっと一馬の背中に抱き着く。
「ざけんなよ…マキより輝いて温かい太陽みたいなやつはいねぇよ」
「辰巳に近づいても嫉妬の一つしてくれない…嫉妬してくれたのはマキちゃんだけだし…」
「なぁ…あの電話なんなんだよ。マキの声じゃねえか」
その瞬間ふと一馬が思いついたことがあった。
「もしかして…お前っ!」
マキの過去にかかわるのか…?
「そうだよ」
作品名:choose me please part3 作家名:河童 マキ