アイバナ
自分の心を偽り、愛想笑いが癖になったのはいつからだったか。
自分が女だったら・・・何度そう思ったか。
自分を卑下する度、何故か心が安らぐ。
そんな卑屈な自分が、本当は虫唾が走るほど嫌いだった。
この心ごと全部、自分自身の存在すら消したかった。
でもあの日、彼は言った。
「お前が女だったらとか、意味はねぇよ。男だったから・・って事でもねぇけど・・何つーか・・今のお前だから、俺は惚れたんだと思う」
その言葉に、心底救われた。
俺は俺のままで、自分の心を偽ることなく、この男を好きでいて良いのだと、愛して良いのだと思えた。
この恋に先がない事すら見失う程、俺は彼を深く愛した。
先が見えない恋の終末は、実に呆気なく、唐突にやってきた。
彼を失い、先が見えない恋をするのは無謀な事だと気付いた。
焦燥感、絶望、堕落・・。
どの言葉が、あの時の自分に当てはまっていたのかもわからないほど、彼を失った後の俺は、以前より増して自分を卑下する事しかできなった。
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