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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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あひる

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ホームセンターでアヒルの雛を見た時、とても可愛くて衝動買いをした。手のひらに乗るくらいの大きさであるから、段ボールの箱で飼育した。雄雌つがいで飼ったから、とても仲が良く体を寄せ合って眠っている姿は癒される。
 1カ月もすると体はぐんぐん大きくなり、家のなかで飼育していたが外に出すことにした。大きなアヒルの小屋を作り、水浴び用の水槽も購入した。すると珍しい事もあって近所の子供たちが見物に来るようになった。
「可愛い。テレビとおんなじだ」
その子の言葉は自分がアヒルを買うきっかけと同じであった。アヒルのコマーシャルが実に可愛くて欲しくなったのだ。
 所が実に世話のかかる動物である。排せつ物が多く、悪臭がするから、掃除をまめにしなくてはならない。自分は仕事があるので、妻に掃除を依頼することになった。それ以外に、日の出とともに大きな鳴き声を出すようになったのだ。その鳴き声は餌を要求するものであった。夏は4時半には鳴きはじめるのだから、実に厄介なことである。
 そのうち卵を産むようになった。食べられるものかと調べてみると、生では雑菌がいて食べられないのだ。ゆでて食べてみたが、変な臭いを感じて妻も自分も美味くないと言った。一度だけで卵は捨てることになった。毎日の様に卵を産み始めると、何か利用出来ないかと考えたのだが、鶏卵の安い事もあり、結局は捨てることになった。
 水浴びをした後のアヒルの姿は眩しいほどの白さをしている。くちばしと水かきの黄色がその白さとマッチしていて自然とは実にセンスがいいのだと感じる。動物は世話が面倒な分癒してくれることも多いような気がする。
 我が家ではそのほかに4匹のトイプードルもいるが、やはり散歩やブラッシングと世話に時間がかかる。それに一泊の旅行もなかなか行けない。
 でもそれだけに旅行に行けた時の歓びは倍増する。この夏は娘が動物の面倒を見てくれると言ってくれた。どこか旅に出られそうだ。
作品名:あひる 作家名:吉葉ひろし