ちょっと弟が好きなだけ!~諒~
弟、諒(りょう)の影響で読むようになった。
と、いってもオススメされた物だけだ;
でも、小説を読む真の目的は…諒の作品を読むこと。
それは1ヶ月前、友達の家に遊びに行った時。
その子も姉弟で…しかも私達は同学年、同じクラス同士。
そんな不思議な偶然がキッカケで仲良くなった。
彼女の家のリビングでお茶を頂いてる時、ちょうど弟君が帰宅し、
諒がノートに小説を書き溜めていることを知った。
そんなこと聞いたら気になってしまうもので…
だって、諒は歌うのがだし、…
だから歌手とかアイドルとかになりたいんだと思ってた;
・・・
本日の夕食も済み、諒の好きなTV番組が始まった。
今こそ実行の時!!
リビングをそっと抜け出して諒の部屋へ直行!
学校指定の鞄を開けて怪しい赤いノートを手に取る。
思ってたよりも割と真面目に書きあがってるのが驚いたw
既に製品になってるものよりずっと面白い…
わざわざ他をオススメなんてしないで
こっち見せてくれたらよかったのに。
ガチャ
「「あ…」」
「お姉、部屋間違えてるよ?」
「そこっ!?
いやいや、私は君のノートを盗み見してるんですよ」
「自らバラした…だと…」
「だって、いいわけ考えるのは面倒だし、
間抜けなことに思いっきり現行犯ですから…」
「そんなの、言ってくれればいつでも見せたのに~
俺は割と堂々と書いてる方だからね☆」
「書いてるって、私は1㎜も教えてもらってない」
「あ…そうかw」
こうして、事件は穏やかに解決した。
こんなんでいいのだろうか?
他所のお宅ってどんなんだろう?
我が弟に反抗期がちゃんと来るのか心配になりつつ
なにかお詫び的な事でもしたほうが良い気がしたので
「お詫びといってはなんですが…今度耳掻きでもしま
「勘弁してくださいっ!!」
諒がすごい勢いで両耳を押さえた。
なぜそんなに怯えた表情をしているのか?
私は人の耳垢がゴッソリ取れた時スッキリするのに。
まぁ、いいでしょう…
「なら今度カラオケ奢りますよ。お好きでしょ?」
「デフォでドリンクバー付きのフリータイムとポテトもつきますか?」
「諒君、姉の財力をなめてもらっちゃぁ困るよwおまかせあれ☆」
「じゃぁ、次の休日!絶対だよ!!」
「おk、おk!バッチリ確実に空けときますよw」
思わぬ棚ボタに、つい顔がニヤけてしまうw
いつからだろう?弟とのデートが嬉しいのは、
いつまでだろう?私の隣にいてくれるのは、
パートナーができてしまうのはどっちが先なんだろう?
君という存在は私をとても複雑な気分にさせる。
でも、私は知っている。「嬉しい」の後のすぐの「不安」は、
その次に君が連れてくる新しい「嬉しい」へと繋がっていることをw
作品名:ちょっと弟が好きなだけ!~諒~ 作家名:藤枝 真緒