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宇宙を救え!高校生!!

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「『スカラヘ?』ってなに?」

 隼人ー、オナラじゃないんだからさー『スカラベ』だから。
 幾ら記憶能力が無いからったって、こんな時まで間違えんなよー。

「『スカラベ』とは。かつてあなた方の暮らしていた惑星、地球に生息していた昆虫に似た形状を持つ、遺伝子による認証システムです。我々電子生命体とマッチングする有機生命体の遺伝子を検出した際に、休眠状態の我々を解除、再起動してこの方舟に導くようにプログラムされている端末の名称でもあります」

「僕の足についてたあの変なやつの事か? 僕の血が(遺伝子)認証されたってことなのか・・・・じゃあ今ここは何処なの?」

「ここは方舟の中、皆さんが遺跡と呼んでいる正四角錐の建造物の内部です」

「内部?・・・でも中に入るための入り口らしいものは全く見当たらなかったけどなぁ?」
 僕はそう質問してから周囲を見回してみたが、この部屋にも出入り口は見当たらなかった。

「ハイ。出入り口というものは存在しません。乗船時には皆さんを原子レベルにまで分解して、壁を通り抜けてきて頂きましたから・・・その後、船内で個体ごとに再構築しました」

「えっ、分解、再構築って・・・まさかその時に他人と混ざったりしないわよね?」

 莉子が青ざめた表情で聞く。

「混ざります、ぐちゃぐちゃになります。ただし、原子分解する前に記録される、個々の遺伝子情報を元に完全に再構築されていますのでご安心ください」

「ま、混ざるって、私の細胞と隼人や浩二の細胞がごちゃまぜになったってこと?」

「ハイ。その通りです。一度原子レベルにまで分解してしまえば細胞などの個体情報は意味の無いものですから。遺伝子の情報さえ記録されていれば元通りの個体を復元可能です」
 電子生命体には個体毎の個性やアイデンティティは、あまり意味の無いことなのかもしれない。

「私が、筋肉バカや、ゲームオタクの細胞とグッチャグッチャになっただなんて、ユ、ユルセナイ・・・・・」
 顔面蒼白の莉子を横目に僕は質問を続けた。

「選ばれたってことは、何か目的があるって事だよね?」

「ハイ。皆さんにはこれからこの宇宙の起源である始まりの特異点へ行って頂き、闇の宇宙と光の宇宙の繋がりであるワームホールを閉じて頂きたいのです。暗黒エネルギーを得られなくなれば、闇の生命体は生きていけませんから自然消滅するでしょう」


 ハルは、胸の前で両手をギュッと握り締めた。


「皆さんに、この宇宙を救って頂きたいのです!」


作品名:宇宙を救え!高校生!! 作家名:葦藻浮