宇宙を救え!高校生!!
頭蓋骨の描く理想的なカーブは淀みなく滑らかに細くしなやかな頚椎へとつながり、鎖骨は翼を広げたようにゆっくりと天を指していた。白いドレスを透かして見える、なだらかなスロープをもつ脊柱と交差する骨盤は見事にハート型に張り出し、長く華奢な大腿骨を導く。そしてその骨格をベースに白く透明な肌と理想的な肉付き。まるで、火星にビーナスが降臨したのではないかと思えるほどであった。
「綺麗すぎるな・・・・」
美しさが人間離れしている。そんな思いが頭をよぎって、思わず声に出してしまった。
「キレイスギルナ? それはご命令でしょうか?」
と彼女はその美しい顔を僕に接近させながらそう尋ねた。
「あっ、ごめん・・・独り言だから気にしないで」
僕は、思わず後ずさりしながら慌てて取り繕った。
(どうも、僕はこの手の清楚系美少女は苦手だ・・・・・・・)
「お前いつこんな美人と知り合ったんだよ、オレに紹介しないなんて凄く悲しいよー」
(おい、隼人よ。貴様この状況下でよくそんな発想が出来るな)
「そうなの、大和・・・幼馴染の私にも内緒だなんて、絶対にゆるさない、いえ認めないわ!」
莉子が頬を紅潮させ、目に薄っすらと涙を浮かべながら僕に詰め寄ってきた。
(・・・・・・・・・ホント、とことん残念だわ、お前ら)
「ち、ちょっと待ってよ、この状況でどうしたらそんな発想になるんだお前ら。浩二なんとか言ってくんない、助けてよ!」
「まぁ、お前ら、ちょっと落ち着け。大体、大和がこんな美人にモテるはずが無いし、そもそもいつも俺たちと一緒だから、もし仮に付き合ってたとしても、直ぐにばれてるはずだって」
その通り? ナイスフォロー、浩二。
「あら、それもそうね。大和がモテるはずないわよねー」
莉子はなぜか嬉しそうだ。お前は幼馴染みがモテないのがそんなに嬉しいのか。
「そうとわかれば、じゃあなたは何者なの? もし私達を騙そうとしているのならこの天王寺莉子が許さないわよ」
莉子は謎の美少女に向かってビシッと指さすと、腰に手を当てながら言った。
「私はハル。今から五億四千年前に誕生した電子生命体です」
莉子の質問に小さな口を開くと、謎の美少女はそう答えた。
「電子生命体?!」
皆が一斉にその言葉を口にした。
作品名:宇宙を救え!高校生!! 作家名:葦藻浮