魔女と魔女狩り Ⅴ
―10章―
私は冷たい牢屋に放り込まれた
窓すらないから時間感覚が狂ってしまいそうだ
入れられてから牢の外で男がこちらに話しかける
「…お前は数時間後、公開処刑される。
だが…公開処刑前の数時間にお前が魔女がどうかをたしかめる
“審査”をする」
「…そう」
まるで自分が殺されるのなんてどうでもいい、
とでも言いたいような声で答えてしまっていた
「だから、魔女の審査がされる前にやりたいことがあるなら
ひとつだけ叶えてやる。
…ここから出たい、みたいなのはもちろん駄目だ」
そう言われて私はほんの少し悩んでから
「だったら…」と続けた
ソレが終わったら
彼は牢屋の中に入ってきて私の腕を掴んで私を外にだした
「…じゃあ、今からは審査だ」
「………あぁ、
…ちゃんと、コレちゃんと出してくれよ…?」
私は彼にコレを渡す
「もちろんだ」
私はこれきり一切口を聞かなかった
このヨーロッパでは処女は殺せない、というルールがある。
男性経験のない人間はまだ子供だとこの国では思われているらしい
…おそらく魔女の審査というのは処女がどうかというのを図る審査なのだろう
処女を殺したら魔女とはいえ、罪に問われるからだ
…一体火炙りにしてどうやってそれを確かめるのかなんて
皆目検討もつきやしないけれど