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真朱@博士の角砂糖
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novelistID. 47038
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教授の朝

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教授はテイクアウトでコーヒーを購入し、タクシーに乗り込んだ。
「K大学まで」
「K大学ね」
タクシーは駅を出て朝の街を走り出す。
教授は気分が良かった。
「窓を開けても?」
「もちろん」
朝のひんやりした風が車内にすべりこみ、教授のあごひげを撫でる。
教授はますます上機嫌になった。
コーヒーを口に含み、その風味を堪能する。
「うまい」
タクシーは進む。
教授を教壇へお連れする。
コーヒーをこぼさぬように。
教授は口笛を吹く。
遠い昔の歌のメロディーが、朝に溶ける。
タクシーの窓から、朝に溶ける。
教授は満足して、コーヒーをもう一口。
「うまいですよね」
運転手が言った。
「もう20年も、この店のコーヒーですよ」
教授は笑った。
運転手も笑った。
「いえいえ、口笛のことですよ」

教授は行く。
上機嫌で、朝を行く。


作品名:教授の朝 作家名:真朱@博士の角砂糖