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魔女と魔女狩り Ⅰ

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―1章―


「―ですからみなさん、魔女を絶滅させるのです。

さすればこの世に平安が訪れ――」

銀のネックレスにシスターのような黒を基調とした服の年をくった神父が

イギリスの街中で魔女狩りの演説をしている

手をわざとらしくあちらこちらに向けて、演説をする。

私は彼の前を通り過ぎようとする

「あぁ、そこのお嬢さん!あなたも魔女を消すべきだとおもうでしょう!?」

ボロボロのマントのフードを深くかぶっている私の顔を覗き込むようにして

同意を求める彼。

その目はまるで真夜中の月のようにぎらぎらと輝いていて、

そのくせなにかに頼らないと生きていけない弱々しい目

あぁ、気持ち悪い。

私は目の前に出てきた彼を押しのけて早歩きですぐそこの角を曲がった

角を曲がると、さっきまで明るくて人がごろごろといる

賑やかな場所だったのにひとつ道を外れると

薄暗くてじめっとした場所に出た

薄暗くて狭い道にいる人は精力をなくしたように

膝を折って頭を疼くめて座っている

私が目の前を通ると彼らは顔をあげるがその目に私は映っていない

まるで、死人のようだ。

…まるでこの国のようだ。

私が彼らを避けながら進む。

進めば進むほどじめじめとした雰囲気を濃くなっていく、

でも、私はある店の前で立ち止まる

そこだけは何故だかあのじめじめとした雰囲気のない、

不思議な場所。

カランカラン、

私はその店、否

酒場の扉を開けると

「お、やっときたな。レイラ!」

じめじめとした雰囲気に合わない明るい

私と同じ20を少しすぎた筋肉質な体の傭兵が

私にカラッとした笑顔を向け、話かけた

「あら、もしかして待っていたの?ヴィクター?」

いつもと違う口調で

私は冗談交じりにそんなことを言い

ボロボロのマントを脱いで彼に投げつける

彼は片手でぱしっとマントを受け取ると

隣の椅子にマントをふたつに折って置いたあと

酒場のおねぇさんを呼んで酒とグラスの追加を頼んだ

すぐにおねぇさんは酒とグラスを持ってきてくれて

私はヴィクターと同じ一番マスターに近い窓際の席に座った

ここは私と彼の定位置だ。

「ん、とりあえず飲めよ」

そういって彼は私のグラスに酒をなみなみと注ぐ

私は入れてもらった酒を一口でぐびっと飲みきった

「…ぷはぁ~」

飲み干してから一拍置いて私は話を切り出した

「…で、旅の途中の私を手紙で呼びつけて、なんのつもりだ?

また、傭兵稼業手伝えってか?」

酒を飲んだおかげか、

もう何年も合っていない彼と昔と変わらずに話せた

「ん~…

まぁ…そんなとこかなぁ…」

歯切れ悪く彼は言う

「なんだよ。

はっきり言えよ」

私がちょっとだけ真面目な目で彼を見ると

「魔女狩りを手伝って欲しいんだ。

…というと語弊があるか…

魔女を見つけるのを手伝って欲しいんだ」

そう彼は言った。

―時代は中世末期のヨーロッパ―

政府は魔女狩りに力を入れている。

そして、傭兵であるヴィクターにまで依頼が来ているということは…

この時代ですべての魔女を殺すつもりなのだろう。

「…絶対に、嫌だ…」

私は呟いた。

とても…小さな声で、

向かいの席のヴィクターにも聞こえるか聞こえないかの声で

「あ…?」

けれど彼には聞こえていた。

だからこそ素っ頓狂な声を上げて、私を見ていた

「嫌だ。って言ったんだ」

今度は彼にだけ聞こえるような声量ではっきり言った

「い、嫌だってお前…

魔女を殺すのが今の俺たちの、

……政府の目標じゃねぇか

それに魔女を見つけたらたくさんの報酬がもらえるんだぜ?

それこそ一生遊んで暮らせるような。」

「………」

私はそれを否定しようとしたけれど、

私の口は鉛でもいれらたのではないかと疑うほど重くてなにも言えない


作品名:魔女と魔女狩り Ⅰ 作家名:八月一日