夜
明日を知っているかのような月が
こちらを見つめる。
私もそれにこたえるように
光を見つめていた。
明日を教えてくれることのない月は
堂々とうすい光を放ち続ける。
私は、明日を教えてくれることのない
月にこたえようと見つめている自分が恥ずかしくなり、
堂々とした光から目をそらした。
そして光を拒絶するように目をつぶった。
「今日」からはやく逃げたかった。
神々しい「明日」にはやくあいたかった。
私が明日を求めている間に、
月は明日を知りたくないといわんばかりに光を増し、
今日にすがろうとしている。
どんなにすがっても
明日の光には勝てなかったのだろう。
月の光はどんどん小さくなっていく。
私は目をあけてざまぁみろと月を見つめ、
背伸びをした。
たがすぐに、つらい「今日」から逃げたくなり、
はやく明日はこないものかと
月がくるのを待っている。