風のごとく駆け抜けて
あれからどれくらい経ったのだろうか。
永野先生の電話でショックを受けた私はその場に倒れ、大泣きをしてしまった。
偶然仕事が休みだった父が、何ごとかと部屋へと入って来たのを覚えている。
その後どうにか落ち着き、次の日両親に付き添われ、晴美の通夜に出かけた。
そこで晴美の亡骸を見た時に、その場で泣き崩れてしまい、後から来た由香里さんと永野先生に支えられてその場を離れ、両親の所まで運ばれた。
その時も私は、ずっと泣き崩れたままだった。
「澤野。自分の気持ちが落ち着くまで部活は休んで良いから。それと熊本合宿の件は私から舞衣子に断りの電話を入れておくな」
私を両親の所へと届けてくれた永野先生が静かに言っていた。
それを最後に、私は部活との……。いや、日常との係わりを持つのを辞めてしまった。
作品名:風のごとく駆け抜けて 作家名:毛利 耶麻