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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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まつり棒

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 「まあまあ、これはなんということでしょう」
 女神はあきれた表情でため息をついた。
 
 「少し放って置いただけで、こうなりまして……」
 すまなそうに言い訳したのは、この地区担当の土地神だった。
 
 「掃除はこまめにやらなければいけません!」
 女神は諭すように言った。
 
 「お返しする言葉もございません・・・」
 土地神はペコペコ頭を下げた。
 
 「まったくゴミだらけじゃないの・・・」
 小言を言いながら女神がゴミを一摘みしたところ・・・。
 中から、小さな生物が無数に逃げ出した。
 
 「ギャッ!」
 女神は思わず悲鳴をあげた。
 
 「これはもうバオベイ(神器)を出すしかありません」
 彼女が懐から取り出したのは小さな棒の様なものだった。
 
 「それは何ですか?」
 不思議そうに見つめる土地神に対し、
 「これは祭雷棒というバオベイ。通称まつり棒です!」
 と、女神は胸を張った。
 
 「いいですか、掃除は掃く、洗う、捨てるが基本です」
 そう言いながら彼女は手早くまつり棒を動かし、
 ゴミと共にうごめく生物を全て掻き出し、
 業火の中へ投げ入れた。
 
 「なるほど、アッと言う間に片付きましたね」
  土地神がしきりと女神を賛美した。
 
 
 「さて、お掃除はこれでよし!」
  女神は逃げ回っていた一匹をひょいと摘まむと、
  それもまた業火(キラウエア火山)の中に放り込んだ。
  
  それから彼女は・・・。
 「こちらには木を、こちらには花を咲かせましょう」
  と、歌いながら、瞬く間に地表を緑で覆い尽くした。
 
 
 
  こうして、全てが終わると、女神は満足そうに頷き、
 「これからは、人間がはびこらないよう、しっかりとお掃除するのですよ」
  と、土地神に言い残して・・・。
  
  地球を去って行った。
 
 
     ――― おわり ―――
作品名:まつり棒 作家名:おやまのポンポコリン