走る
背中側から投げかけられた声。
「あんたは何も残してはいない。」
別の声が、今度は右側から。
「私達に残されたのは、絶望だけ。」
また別の声が、左側から。
「何のために生まれてきた?」
3方向から聞こえてくる。
僕はそれを聞きたくなって、走り出す。
「運命から逃げるな。」
走る。
「運命に逆らうな。」
走る。
「運命を変えるな。」
走る。
「僕達を助けてくれるのではなかったか?
「あたし達を守ってくれるんじゃなかったの?」
「私達を救ってくれるんじゃなかったの?」
走る。
「僕達を見捨てるのか!」
「あたし達を見捨てるの!」
「私達を見捨てるの!」
走る。
永遠ともいえる長い時間。
絶望よりも深い闇の中。
その声を否定することもできず。
僕は
走り続ける。