ふっくらとした手で・・・
いかにも優しさの含んだ手という感じだった。
可愛らしく小さくて・・・・
そんな手で母はわたしを撫でてくれた。
よく転んで泣いていた妹を抱き起こして
「痛いの痛いの飛んでいけ~~」って
真剣な顔で言っていたのを思い出す。
いつも真面目な人なので・・・
てのひらには、エネルギーが宿っている。
とくに母親の手には・・・
子どもを想う母の手が痛いところに触れただけで
痛みが消える!ような感覚になる。
きっと経験したことがあるのでしょう?
足が痛くて、傷病名もわからなかったとき
階段を上るにも手を使わないとダメだった日。
なぜかふっくらとした母の手を思い出していた。
「あぁ・・ あの手で子どものときみたいに
『痛いの痛いの飛んでいけー』って言ってくれたら治るかも・・・」
なんて思ってしまった。
いつまでも母に優しさを求めてしまう。
今はもうわたしの名前さえ思い出せない母を・・・
作品名:ふっくらとした手で・・・ 作家名:ゆう